この記事の目次
No.4154 風景 金閣寺 eHS
【添削回数】8回目
【モチーフ画像番号】添付写真
【制作時間】6時間(分)
【トレーニング内容】右脳トレーニングを実践 など
【描く力を身につける目的】イメージした絵が、描けるようになりたいです。
【気をつけた事】今までのアドバイス。特に、前回の新しい 演出というアドバイスを取り入れてられればいいなぁっと 思いながら。
【質問】
風景は、初挑戦で、特に 歪んだり、違和感がないように 注意を払って建物を描きましたが、やはりパースの基礎から勉強した方がいいですか?今回は、金閣寺をバックにイキイキしている松を私なりの演出したつもりですが、表現できていますか?
No.4178 風景 風景・金閣寺・添削いたしました ピリカアートスクール矢野
ピリカアートスクールの矢野と申します。
eHSさんの作品を拝見しました!
今回もどうぞよろしくお願いいたします。
難しい題材にも関わらず、全体のバランスをよく測れていらっしゃいますね。
細かい所まで鉛筆のタッチが工夫されていて、とても魅力的な作品だと思います!
ご質問内容に【パースの基礎から勉強した方がいいですか?】とありましたが、パースは基礎の部分だけでも学んでおいたほうが良いと思います。
やはりパースについて勉強しているか否かで、作品の完成度が違って見えるからです。
今後もっと複雑な建物や風景を描く機会があるかもしれませんし、あらかじめ基本的な知識・手順・測り方を頭に入れておけば必ず役に立ちますよ^^
モノの見方が分かってくることで制作時間も少し短縮できると思います。
パースは難しく考える必要はありません。
これから枚数を重ねて少しずつ基礎を勉強していきましょう!
まずは資料1をご覧ください。
資料1の写真をよく見ていただくと、実は少しだけ建物が斜めに傾いています。
そのため、eHSさんのデッサンも同じように斜めに傾いた形で描かれています。
建物を描く場合、画面に対して水平・垂直になっていないと全体が歪んで見えてしまいますので、その都度ご自身で調整していただく必要があります。
参考までに、資料2では角度を修正して建物の水平ライン(横)と垂直ライン(縦)を引いてみました。
このように描きはじめる前に水平・垂直ラインを確認・修正しておきましょう!
写真のモチーフはときどき傾いていたり、歪みが表れていたりするので注意して下さいね。
コメントに【イキイキしている松を演出したつもりですが、表現できていますか?】と書かれていましたが、松だけを見ると形も細部の描写もとても丁寧に描けていますよ!
うねるような枝振りや、幹の濃い色合いがよく観察されていて見応えがありますね。
距離感を意識して空間表現を演出しましょう
今回の構図は大きく分けて3つの景色が重なっていて非常に難易度が高いです。
手前から松(近景)、金閣寺(中景)、さらに奥は野山の風景(遠景)が存在しています。
こういう場合は近景→中景、中景→遠景…といった「距離感」に注目しましょう。
パースで構成されている風景画は「空間表現」を演出するものです。
事前にしっかりと近景、中景、遠景のモノを頭に入れておく必要があります。
eHSさんの作品では、全体が似たようなトーン(黒色~白色までのグレーの色幅)で描写されていますので、遠近感が少し分かりづらくなっています。
手前にある松はもっと濃く、しっかりと表現しても良いと思いますよ。
鉛筆を鋭く削り、先端を使って細かい部分をはっきりと描き起こしてみてください。
そして金閣寺(中景)→奥の風景(遠景)に至るまで、少しずつ単純化しながら薄いトーンで描いていかれると、距離感と空間が表現できると思います!
手前にピントを合わせることで、奥がぼやけて見える写真の演出のようなものですね。
資料4では基本的なパースラインを引いてみました。
下描きの段階で「消失点の位置」を設定しておきましょう。
水平ライン(横)をよく観察して、グランドラインAとアイラインを引いていきます。グランドラインというのは地面のことですね。
eHSさんが地面の上に立って見ているとして、アイラインは目線の高さを示しております。
今回、この建物は1.5メートルくらいの高さから眺めている写真になっていますね。
eHSさんの作品では消失点の位置がちょっと曖昧に見えます。
ここを明確にしておくと、地面の上に立つ建物として説得力が増してくると思います!
消失点は右側のみ画面上で示しておりますが、左側ははるか遠いところにあります。
左側の消失点を定めるときは、B・Cなど見やすいパースラインを測りましょう。
左右どちらも屋根や窓のパースラインが参考になると思います。
ときどき画面から離れて、作品全体を見ながら進めていってくださいね^^
光源の位置を確かめましょう
太陽光がどのあたりから金閣寺に当たっているかを観察してみてください。
今回は建物の正面に光が当たっていて、側面が少し暗い影になっていますね。
この大まかな明暗バランスを作品に反映しましょう。
eHSさんの作品では正面と側面の明暗差がなんとなく曖昧なため、側面の陰影にもう少し濃淡を乗せていただくと建物に厚みが出てくると思います。
建物にボリューム感が増すと、メリハリのある写実的な作品に近付いてくるはずです!
モチーフ全体の明暗をよく観察しながら、上記でお伝えした近景・中景・遠景の距離感を意識して鉛筆のタッチを工夫してみてくださいね。
例えば、近くのモノは明確にはっきりと描いて遠くのモノはあえて薄く描写するとか、窓などは手前を大きく,奥に向かって徐々に小さく描くと遠近感が伝わりやすくなります。
トーンを乗せる際は、形に沿って鉛筆のタッチを重ねましょう。
壁や屋根の角度に合わせて鉛筆の線を重ねていくと、ぼんやりとした形が立体的に見えてくると思います。
また、松の幹は円柱をイメージして、実際に手のひらで幹を触るように鉛筆を動かしてみてくださいね。
その際、鉛筆の種類を2H ~4Bまで使い分けしながら・・・
あなたの作品を拝見させていただくのを楽しみにしています!
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