薔薇のデッサン Sugiさんの作品
【添削回数】4回目
【年齢】60代
【モチーフ画像】 我家の薔薇
【制作時間】20時間
【トレーニング】毎日30秒・3分トレーニングの継続。10分トレーニンの導入・継続。右脳活性化へのチャレンジ。デッサンの目的の明確化の引き続きも模索。
【目的】ビジネスデッサンを通して新たな視点の物差しを構築したい。『ビジネスデッサン≒観察力∞想像力 (+人間力)』設定した目標に向かい加速して継続したいです。
【気を付けた事】我家の薔薇を生けてみました。
逞しさと美しさを描きたいと思いながら、優しい気持ちになった自分がおりました。球体の連続と特に遠近感には傾注してみましたが…
松原美那子の動画添削アドバイス
ピリカアートスクール松原です。作品拝見いたしました!
モチーフのバラがとっても素敵ですね。お庭に咲いているなんて羨ましいです♪^^
1度目にお送りいただいたデッサンも、バラの柔らかい雰囲気が綺麗に出ており、これはこれでいい作品だなと思いました。
白と薄ピンク色の花の中にみえる、淡く反射した光までも伝わってきます。香りも漂ってきそうです^^
ただ、やはり前回矢野講師の方からお伝えしたように、全体の大きな構造がもっと出せると、更に花の美しさが際立つと思います。
復習作品では、葉の濃淡を濃くしていただき、メリハリが増しましたし、花の部分の濃淡も色幅が増えて、表現が豊かになりました。
今回は、後少しだけ、立体感や空間が出せたらと思いましたので、その辺りをお伝えしてみようと思います。
デジタルでの加筆なので、少し硬さが出てしまいましたが、描き込み描写の参考にしていただけたらと思います。
加筆しているところを、動画で撮影してみましたので、こちらもお時間ある時にご覧いただけたらと思います。
ポイントとしては、花の部分も暗いところはもっと暗くして大丈夫ということと、逆光の場合は、後ろからの光が強くなりますが、しっかり見えた通りに「明るいところは明るく」して大丈夫です。
今回も明るいところを描きいれるところから初めています。
実際には、練りゴムで明るいところを作っていく感じになります。
【A】の器の縁の部分ですが、線で囲んでしまっているのが勿体無いです。
背景にも暗さをおいているので、ここは明暗の違いで表現した方が綺麗にみえると思います。また、厚みが少し薄く感じますので、その辺りも注意して観察してみてください。
【B】の部分も、背景の明暗の違いによって、器の縁の見え方も変化している点に注目です。
「見えたままに」描くことで、もっとリアルに存在感を出せますよ。
【C】については、「花がどれくらい手前にあるのか?」をしっかりイメージして描くと良いです。
テーブル面と比較しながら考えるために、花の位置をおおよそですがテーブル面のどれくらいの場所に位置するのかを記してみました。
このように線を描きいれると、距離感を感じやすいです。
しかし、不自然な線を描きいれるわけにはいかないので、テーブルの影を描く時にできるだけ奥行きを表現できるように意識するだけでも変わって来ると思います。
奥の白いバラは、手を加えていませんが、ちょうど良い位置に描けていると思います。背景とのバランスも綺麗ですし、とっても良いと思います^^
バラは細かい描写が必要になってきますし、難しいモチーフですが、全体にとても魅力的に描けています!
あと少しだけ、ポイントごとの描写が加わるとさらに完成度を上げることができると思いますので、是非試してみてください。^^
また次回の作品も楽しみにお待ちしています。
矢野先生の添削アドバイス
ピリカアートスクールの矢野と申します。
Sugiさんの薔薇のデッサンを拝見しました。どうぞよろしくお願いいたします!
【制作時間】20時間で非常に丁寧に仕上げて下さいましたね。
背景の薄っすらとした暗がりの描写が、花びらの繊細な雰囲気をよく引き立てていると思います!
とても魅力的な作品ですね。
前回の松本城(建築物)は直線的なタッチが多かったですが、植物は曲線を用いた柔らかさ、しなやかさの表現がメインになります。
コメントで「逞しさと美しさを描きたいと思いながら、優しい気持ちになりました」と書かれていますが、デッサンからも優しいお気持ちがしっかりと伝わってきます。
【気を付けた事】「球体の連続と、特に遠近感には傾注してみました」
素晴らしい着眼点ですね。薔薇は花びら1枚1枚の重なり方が特徴的です。
独特の曲線が集まっていき、ふんわりとした球体を構成しています。
画面には複数の薔薇が配置されているため、手前から奥までの遠近感も表現のポイントとなりますね。
Sugiさんは全体の配置や形のシルエットは大変よく捉えていらっしゃるので、当添削ではトーン(濃淡)、鉛筆のタッチを解説させて頂きます。
参考資料と合わせてご覧ください。
トーンについて
まずはトーンを見ていきましょう。
最初にモチーフをじっくりと観察する時間を設けて、光と影の位置関係と、形の特徴を頭に入れておくと良いですね。
今回のモチーフは机(平面)の上に丸い器が置かれていて、複数の薔薇が生けられています。
光はモチーフのやや左側・後方から当てられているため、一番奥の薔薇は大半(特に左面)が明るく反射しています。
あと器の上面と左の側面、手前の薔薇は外側の花びらが明るいですね。
反対に、モチーフ全体の右側・正面・奥まっている薔薇の中心部は暗く影になっています。
この光と影の位置関係を明確に表現しましょう。
特に花びらや器の逆光(手前が暗い状態)は特徴的です。
Sugiさんの作品はこのあたりの逆光の描写が少し弱いかもしれません。
形はしっかりと測れていらっしゃって非常に良いので、もう少し全体のトーンを統一させましょう!資料3では写真を白黒にしてトーンを強調してみました。
Sugiさんもモチーフ撮影時に画面をモノクロ(白黒)にしてみると、全体のトーンを観察しやすいですよ。
ハイライト(黄色)→ハーフトーン(緑色)→濃いトーン(紫色)を再度よく観察して、作品と比較してみて下さい。
意外と逆光が強いので、手前と奥の薔薇の明暗差がかなりありますね。
参考までに、資料2では一部の花、葉っぱ、机の影をデッサンの上から更に濃く描いてみました。
逆光を際立たせるだけでも、メインの薔薇が浮かび上がって器も力強く見えてくると思います。
器に関しては上の面(フチの部分)と、左のキワの側面以外はほとんど暗く影になっているので、白く残す範囲はほとんど無いと思って描いてみて下さいね。
上記のようにトーンを大きく捉えると画面に統一感が増してきますよ。
そうすると、もっと絵画的空間が活きてくると思います!
絵画的空間を描くときは呼吸のリズムをイメージしてみて下さい。
ご自分の中で息を吸う、吐く(強弱)を意識して、リズム感みたいなものを感じて頂きたいなと思います。
Sugiさんが静物デッサンをする際、一番描きたいものを明確に持つことも重要ですね。
鉛筆のタッチについて
次に鉛筆のタッチを見ていきましょう。
今回のモチーフは薔薇も器も曲線がメインですね。
資料2で器の上に横長の楕円形(青色)を描いてみました。
これは器の立体感を示しています。
器には正面、側面、反対側に回り込んでいく面が存在していて、これらの面の連なりが形を立体的に見せています。
鉛筆の曲線を丁寧に重ねながら、器をぐるりと囲うような曲面を表現してみて下さい。
器に限らず、モノには面の方向性というものがあります。
描き方は様々あるので自由ですが、例えば球体を描く場合、トーンだけで塗り絵のように表現する方法と、鉛筆の線を細かく交差させてトーンを表現する方法があります。
鉛筆デッサンでは線を細かく重ねて、線の角度や密度で立体を表現する方法が多いですね。
面の表現はいろいろな解釈があり、正しい方法が決められているわけではありません。
被写体や画材によって表現の仕方は自由です。
どうすれば器の曲面を的確に表現できるかを考えて、ご自分で考えながら線を引くようにしてみて下さいね。
鉛筆の種類やタッチを工夫すると、デッサンに深みが出て今以上に面白くなってくると思います!
鉛筆の使い方次第で、器と薔薇の質感の違いも表現できるはずです。
質感に関しても感じ方に個人差があります。
器は少しツルリとした質感、花びらはティッシュのように軽くなりすぎないように、しっとりとした瑞々しさを意識するなど、Sugiさんが感じた材質の雰囲気を考えると良いと思います。
薔薇はお椀を逆さまにしたような半球体みたいな形がありますので、器と同じく、なるべく立体感のある捉え方をしていきましょう!
最後に・・・
どんどん上達している受講生の声はこちらをご覧くださいませ。
添削アドバイスを受けるとなぜ一気に上達できるのか?
その理由は、こちらの記事をご覧くださいませ。