
毎週行っているオンラインのグループデッサン会では、描く前に必ず“モチーフの読み解き”を行います。藤田先生による解説は、受講生のみなさんから「目の付け所がわかる!」と大人気。デッサンを基礎から学びたい方にも役立つ内容なので、今回の記事でそのエッセンスをご紹介します。
今回の題材は 金属バケツとカリンの果実。
質感も形もまったく違う2つを組み合わせると、観察ポイントがぐっと増えて、描写の練習として最適です。
- 直線 × 曲線
- ツヤ × マット
- 固い × 柔らかい
この“差”がデッサンを面白くしてくれます。
◆ 形の捉え方が安定度を決める
最初に見るべきは、両者の大きなプロポーション。
- バケツは縦横比が崩れやすいので、最初にしっかり比率を決める
- 左右対称の形状だから、中央に1本の軸を置くと歪みが見えやすい
- カリンは丸いだけでなく、上部と下部のボリュームが違うので中心軸を想像しながら向きを判断する
バケツの円柱性と、果物の球体感は比較すると分かりやすくなります。
形を「線で囲む」よりも「面を組み立てる」意識で見ると、安定した立体に近づいていきます。
◆ 光の向きは“答え”を教えてくれる
今回の光源は左上。
光の方向を把握すると、影の入り方が自然に理解できるようになります。
- バケツの内側の暗部はどこまで落ちるか
- カリンの明部と反射光の位置
- 床の影がどの方向へ伸びているか
陰影は立体を説明するための“地図”のようなもの。
影が描けると、形の理解も再確認できます。
◆ 観察してから描く人は上達が早い
デッサンで伸びる人の共通点は、「見る時間を確保していること」。
輪郭や構造、明暗の配置を理解しながら見ると、モチーフの情報が立体的に頭に入ります。
その結果、描く線にも迷いがなくなっていくのです。
「考えながら描く」ことは、思っている以上に大きな武器になります。
◆ 今回のモチーフで得られること
バケツと果物のセットは、以下の学びがギュッと詰まっています。
- 質感の描き分け
- 形の正確さ
- 楕円の理解
- 光と影の読み取り
- 空間の奥行きの掴み方
角度を変えて見ると、新しい発見が次々と見えてきます。
描けば描くほど観察の能力が育つ、非常に良いテーマです。
動画による解説も公開していますので、描く前にぜひチェックしてみてくださいね🎥
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