美容師でヘアメイクのデザインのデッサンを上手く描けるようになりたい受講生の作品について、アドバイスさせていただきました。右側の作品は、講師の加筆例となります。
講師による添削アドバイス
人物デッサンのアドバイス:立体感と明暗バランスを高めるコツ
今回のデッサン作品は、目元が丁寧に描かれ、モデルの力強さがしっかりと表現されており、大変魅力的な仕上がりです。睫毛や眉毛の毛流れなど細部まで丁寧に描写されている点も素晴らしいです。顔のパーツの位置や形状の特徴がしっかり捉えられている一方で、肌色の範囲や明暗の表現について改善の余地が見られます。以下に具体的なアドバイスをまとめました。

顔の輪郭とパーツの調整
顔の輪郭がやや外側に広がっているため、目尻・小鼻・口角から両アゴまでの距離を見直してみましょう。特に右のこめかみ部分が広く描かれているため、前髪の生え際を少し内側に調整すると、小顔で引き締まった印象になります。また、鼻筋がやや長く描かれているため、縦方向の比率を見直すことで、モデル本来のバランスに近づきます。上唇と下唇の厚みも調整することで、さらに自然な表情に仕上がるでしょう。
首と肩の形状の改善
首の肌が見えている範囲をやや狭くし、肩への繋がりを自然に広げると、全体のバランスが良くなります。これらの調整は細かい部分ですが、作品全体の完成度を大きく高めるポイントです。ときどき作品から離れて全体を観察することで、形の違いに気づきやすくなります。
明暗のバランス
肌の広い面積がのっぺりと見える箇所があるため、明暗の順位を意識して描き込みましょう。特に額やこめかみ部分に陰影を加え、ハイライト部分を際立たせることで、立体感が増します。また、目元や口元といった印象的な部分の陰影はしっかりと描かれていますが、白目や瞳の周囲も意外と暗い範囲があるため、さらに細かく観察して描き込むと良いでしょう。隣り合う明暗を比較しながら、①~⑤の段階で整理すると、バランスが整います。
総評
目鼻立ちの描写がとても丁寧で、モデルの魅力がしっかりと伝わる素晴らしい作品です。今後は、肌色の範囲や明暗の移り変わりにさらに注意を払い、立体的かつ写実的な表現を目指しましょう。こうした部分を改善することで、細部の描き込みがより活きてくるはずです。継続して枚数を重ねることで、確実にスキルが向上していくと思います。次回の作品も楽しみにしています!今回のアドバイスが少しでも参考になれば幸いです。