パース理論(遠近法)って、なに?
「全体的に歪んでいる気がする・・・」
「安定感がない感じがする・・・」自分が描いた絵を見てこんな風に感じたり、他の人から言われたりしたことはありませんか?
普段見ているものを、そのまま描いているつもりなのに、何がいけないんでしょう?
全体的に歪んでしまうのか?
なぜ、安定感がでないのか?
それは「パース理論(遠近法)」に沿って描かれていないからかもしれません。
「パースって何?」
「遠近法は聞いたことあるけど、よくわからない」
「難しそうなので勉強しなかった」
そんな方も多いかも知れません。
パース理論・・・なんだか、難しそう?と思いましたか?
安心して下さい。
ここでは、パース(遠近法)とは何か?という部分から、まったく知識がないに方でも理解できるように、分かりやすく丁寧に解説してみます。
今まで、パースについて意識したことがなかったとしたら、パースを知ることによって、日常の風景の見方が変わるかもしれません。
そして、パース(遠近法)を知ることにより、更に自信を持ってスケッチやデッサンが描けるようになると思います。
苦手意識のある方も、一度しっかり学んでみてください。
パース(遠近法)を知り、身に付けることは、スケッチ力やデッサン力をアップさせる近道となるはずです。
覚えてしまえばそんなに難しくはありません。
「なんか不自然な感じがする」
「全体的に歪んでいる気がする」
「安定感がない感じがする」
こういった、原因が分かることで、あなたのデッサン表現が更に広がりを持つことを願っています。
では、パース基礎編、さっそく始めましょう♪
この記事の目次
パースってなぁに?
(1)パースとは
パースは、パースペクティブ(Perspective)の略で、「遠近法」、「透視図法」と言った意味があります。
人の目で見ている3次元の世界を、紙の上の2次元で表現する際に、“遠くにあるものは小さく”、“近くにあるものは大きく” 描くことによって、遠近感を表現します。
ただ、“小さく”、“大きく”と言っても、どのくらいの大きさで描けば良いのかわかりませんので、この目安となるのがパース理論となります。
パース理論を用いることによって、見たものを見たままに正確に表現することができるようになります。
(2)パースを使ってみる
実際にパースを使った例を見てみましょう。「ビジネスデッサン術」の看板を描いてみました。
パース理論がないとこんな違和感のある絵になってしまいます。
パース理論を知っていれば描くべきラインが簡単にわかるため、ピタッとあう絵が描けるようになります。
いかがですか?
パースはこんなところでも役にたちます。なんとなく、お分かりいただけましたでしょうか?
アイレベルってなぁに?
(1)アイレベルとは
パースを学ぶには、まず、アイレベルを理解する必要があります。
アイレベルとは、簡単にいえば、絵を描く時や何か見ている時の「目の高さ」のことです。
また、ビルなどが無い見晴らしの良い場所に行くと、目の高さには、必ず地平線があります。
この目の高さを「アイレベル(地平線・水平線)」と言います。
(2)違う高さの3つの景色
アイレベルは、目の高さと言いました。ということは、自分が見る高さによって、アイレベルが変わり、見え方が異なります。
違う高さの3つの景色を見てみると違いが良くわかります。
アイレベルを意識しながら、違う景色でも見てみましょう。
アイレベルを意識しながら、違う景色でも見てみましょう。
(3)アイレベルの位置を見つけてみよう!
アイレベルは、「自分の目の高さ」なので、写真でも簡単に判断できます。
では、下の写真のアイレベルの位置を探してみましょう。正解は次ページにあります。
回答です!
(4)消失点とパースラインとは?
パースを使って、対象物を描く時、対象物の奥行きの線は、奥に行けばいくほど小さくなります。そして、アイレベル(地平線)まで行くと見えなくなってしまいます。
この点を「消失点」といい、消失点まで伸ばした線をパースラインと言います。
ふと、街を歩いていると、街には「パース」が沢山あります。
携帯カメラで写真をとったり、いろいろ見ているだけでも楽しいですよ。
因みに・・私は、学生の頃、パースという概念を知って、世界観が変わり、街に出ては、パースを見て、喜んでいる時期がありました(笑)
パースは風景だけではありません。
身近にあるいろいろな箱を写真に撮ってみました。
パースが付いているのがわかると思います。
これはデジタルカメラで撮影していますが、広角レンズの影響でパースが強調されやすくなる傾向があります。
肉眼でみると、ここまでパースはつきませんが・・・パースの影響があるということを、まずは知っていただけたらと思います。
円形のパース
(1)円形のパース
曲線や円形にもパースがつきますよ。
次は円形のパースについて解説したいと思います。
円のお話をする前に、円柱を思いうかべて見てください。
身近に「コップ」や「缶」などがある場合は、実際に手にとってみていただくとわかりやすいのですが、「円柱形」は真横からみると上の面が見えません。
だんだんと目の高さを変えて行くと「だ円」の見え方も変わって来ます。
そして、真上から見ると「円」になります。
実際に目線の高さを変えて見てみましょう。
因みに、上部の見え方が変わると、同時に底の面も見え方が変化して行きますよ。
実際に、コップでだ円の変化を見てみましょう。
次に、円柱を描く場合によくある間違いです。
だ円は、目の高さの違いで、見え方が変わると説明しました。
ということは、円柱を描く場合、「上のだ円」と「下のだ円」は、高さが違うので、「だ円の大きさ」を変えなければならないのです。
これも実際に円柱の物を用意して、見比べてみるとわかりやすいと思います。
身近にあるだ円を見てみましょう。
立方体にパースがついているにも関わらず、円形にパースがついていないと、どうなるでしょうか。
サイコロの目に円形の「パースをつけているもの」と「パースをつけていない」2種類を比較してみましょう。
× サイコロの目にパースがついていない
○ サイコロの目にパースがついている
「なーんだ知ってるよ!」と思った方もいるかも知れません。
し・か・し、出来ていない人が多いんです〜〜〜!
知っているつもりでも、出来ていなければ知らないのと一緒です。
まずは知るところから。
そして、次はきちんと活用することですね^^
実際に描いて見て、出来ているかどうかを確認してみてくださいね♪
初心者の方はこちらの記事もおすすめです。
⇒絵が苦手な初心者がデッサン力を身に着けるためのはじめの一歩
デッサンの道具については、こちらの記事が参考にしてください。
→初心者必見!デッサンってどんな道具が必要なの?
パース理論は、奥行きを表す為に有効な方法であり、知っておくことで違和感のない、安定感のある絵を描くことができます。まずは、基本となる四角のパースや、円形(円柱形)のパースの存在を知りましょう。