デッサンで必要な道具について
デッサンの道具
デッサンをするための基本的な画材について紹介します。
(1)鉛 筆
デッサンに適しているものをここでは2種類ご紹介しておきます。
上の段の青色の鉛筆が、ステッドラー社の鉛筆。
比較的堅い描き心地で、色味は青味がかった黒です。
下の段のこげ茶色の方が、三菱ハイユニです。
比較的柔らかい描き心地で、色味は茶色味がかった黒で温かみがある感じです。
上級者になってくると、硬質なものや金属質のものなどはステッドラー、自然物や人物など柔らかい雰囲気が出したい場合にはユニ、といった具合に、描きたいモチーフによって使い分けたりするようになりますが、まずは実際に幾つか描き心地を試してみて、好きなほうを選んでいただけば良いと思います。
ステッドラー[マルス・ルモグラフ]
三菱[ハイユニ]
鉛筆についているH、B、Fの記号は、芯の堅さと濃さを表しています。HはHARD(ハード:堅い)の略で、BはBLACK(ブラック:黒い)の略となります。
以下に示す通り、Hの数字が多いほど、芯が固く、薄くなり、Bの数字が多いほど、芯が柔らかく、濃くなります。
はじめから全部の種類を揃える必要はありません。
通常、良く使うのは、4B~2Hくらいまであれば、十分だと思います。
因みに、芯が柔らかいB系の鉛筆の方が減りが早いので、必要に応じて、買い足して行きましょう。
鉛筆の使い方の動画はこちらをご覧ください
(2)鉛筆の削り方
下の写真をご覧ください。
上は「鉛筆削り器」で削ったものです。
通常、文字を書く時には、このように削ると思いますが、デッサンをする場合は下の写真のようにカッターナイフや小刀を使って、鉛筆を削ります。
芯を少し長めに出して、広い面積を塗るときなどに、芯を寝かせて描きやすいようにしてあります。
では、早速、削ってみましょう。
まず、鉛筆の六角形の6つの角を粗く削って落としていきます。
左手の親指でカッターを前に押し出す感じで削りながら、鉛筆を少しずつ回転させます。
回転させながら6角を削り終わった状態です。
続いて奥の方から削ります同じく6角の角からです。
文字を書くときと違いデッサンで使用する鉛筆は長く削ります
芯の部分は斜めにカッターの刃をあてて、先端に向けてすべらせ、少しずつ芯を鋭角に削ります。
左手で鉛筆を転がすように回転させ、芯が均等に削れるようにします。
鉛筆の削り方の動画はこちらをご覧ください
(3)消しゴム
「消す」という役割を持つと同時に、「白を描く道具」といった役割もあります。
子供の頃によく伸ばして遊んだなぁ〜(笑)
練り消しゴム
プラスチック消しゴム
(4)練り消しゴムの使い方
練り消しゴムは、適当な大きさにちぎり、使う前に柔らかく練ります。
消す線の太さなどによって、いろいろな形に練って使用します。
使い方としては、動画をご覧いただきたいのですが、先端を尖らせて「消す」の他にも、平らな面をつくって「たたいて鉛筆の粉をとる」丸めたものを「転がして」使うなど、消すというよりも、鉛筆の線を「薄くする」、または鉛筆の色を「押さえる」といった使い方も出来ます。
用途が広いため、絵を描く際には、プラスティック消しゴムよりも、練り消しゴムを使う場面が多いです。
鉛筆の粉で黒くなった場合は、練り直して使います。
また、消す際に、紙を痛め難いというメリットもあります。
(5)プラスチック消しゴムの使い方
通常文字を消す時と同じような使い方で良いのですが、細かいところを消すには角を尖らせておくと便利です。
練り消しゴムよりも、細くシャープなクッキリとした線が作れます。
先端が丸まって来たら、時々先をカットしながら使います。
また、力を入れてしっかり消したい時など、効果的な使い方を学んでみてください。
練ゴム、プラスチック消しゴムの使い方の動画はこちらをご覧ください
(6)羽ぼうき
消しゴムのカスを手で払うと、汗や油で画面を汚してしまうことがあるため、羽ぼうきを使います。
特になくても構いませんが、画面上の消しゴムカスを払う際に気になる方は使ってみると良いかも知れません。
(7)画用紙
紙は本当に種類も多く、慣れないとどれを買えばいいか分かりませんね。
私は、主に手に入りやすい「M画用紙」を使っていますが、ケント紙や水彩紙など、銘柄によっても目の凸凹が事なり、極細目から極粗目まで4~5段階くらいあります。
好みにもよりますが、画用紙は、適度な凸凹があり、鉛筆の調子をつけやすい紙で、基本的な鉛筆デッサンをするのに適しています。
紙によって特性が少しづつ異なりますので、モチーフや目的に応じて使い分けるのも良いと思います。
- 画用紙・・・表面が粗く、クレヨン、クレパス、絵具などの一般図画に適しています。私のスクールではデッサン用としても推奨しています。
- 水彩紙(ワトソン紙)・・・適度に表面の凹凸があり、厚さもあります。水に強いのが特徴で、水彩画にもよく用いられる紙です。また画用紙などと比べ強度があり、消しゴムの摩擦にも強く、毛羽立ちが起こりにくいため、パステル画にも使用できます。
- ケント紙・・・凹凸がなく、なめらなか表面で、タッチをきかせやすい紙です。細密な描写をするのに適しています。
その他、私のスクールでは、スケッチやドローイングなど、短時間で沢山の枚数をこなして欲しい場合などには、気兼ねなく使えるように、厚みの薄いクロッキー帳やコピー用紙、100円くらいで買えるお絵かき帳など、画用紙よりも薄くて安価な紙を使うこともオススメしています。
描く目的によって、使い分けてみてください。
(8)パネル
画用紙を固定し、描きやすくするための木製画材です。描きたい大きさに合わせて用意します。
水張りして、パネルに紙を張り込む方法もありますが、デッサンの場合目玉クリップなどで紙をパネルに固定して使うことが多いです。
パネルごと、イーゼルに置いたり、テーブルに立てかけて使います。
硬い表紙でできているスケッチブックであれば、表紙が台の代わりにもなりますので、必ずしも必要な訳ではありません。
机に立てかけて描く際にも便利です。
(9)ガーゼ・さっぴつ
鉛筆で塗った面を「こする事」で表現の幅を増やすことができます。
こする道具としては、ガーゼやさっぴつ(擦筆)、ティッシュ、綿棒を使用したり、直接指でこする場合もあります。
こするについては、こちらの記事が参考になります。
→りんごを描くと人物画もうまく描ける!
【さっぴつ(擦筆)】紙でできており、鉛筆のように持って使う事ができます。細部をこするのに適しています。先端が黒くなった場合は、鉛筆で削って使えます。
【ガーゼ、ティッシュ】ある程度、広い面積をこするのに適しています。
(10)はかる道具について その1
形を正確に測る時には、はかる道具があると便利です。
ここでは、5円玉を糸につるし、垂直を利用したはかりかたを紹介します。
5円玉を糸につるし、はかりたいモチーフに向けて、揺れないように垂直をはかります。
アナログな方法ですが、結構便利なので、1つ用意しておくと良いと思います。
垂直に糸をたらすことによって、「どの位置がどの位置と同じ」とか「どこがどのくらい出っぱているのか」など、正確な形をとる際の手がかかりにすることができます。
(11)はかる道具について その2
もう一つはかる道具をご紹介しましょう。
デスケールといって、構図を決めるときなどの手助けとなります。
あらかじめ線の引いてあるプレートを目の前に置き、枠の中を用紙と考えて、どのくらいの位置にモチーフを置くとバランスが良いか、またはモチーフ自体の縦横の位置関係をみる時などに便利です。
下の写真のように構図を決めるときに使用します。
○ 全体的にバランスが取れている。
× 左は時に寄りすぎている。
× 中心は真ん中にきているが、取っての部分が切れているのが確認できる。
(12)フィクサチーフ(定着液)
描き終わったデッサンは、画面についている鉛筆の粉が動いて取れてしまうのを防ぐため、「フィクサチーフ(定着液)」をかけます。画面から30センチほど離し、2、3回に分けて吹きつけます。
描いた後の用紙を、重ねて保存するときなどにも使用すると良いでしょう。
まとめ
鉛筆・消しゴム・紙・測る道具など、デッサンに使う道具を解説してみましたが、最初から全てを揃える必要はありません。デッサンを学んでいく上で、表現する上で、必要だと思ったものを買いそろえていけば良いと思います。
ただ、鉛筆であれば、硬い鉛筆、柔らかい鉛筆、それぞれ種類によって表現の幅も広がります。
測る道具も、きちんと使うことで効率よく描くことができます。
しっかり描こうと思った時には、ぜひ実際にいろいろ使って、試してみていただければと思います。