「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?」を読んで。〜デッサンでも美意識は鍛えられるのか?〜
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先日本屋に立ち寄ると、目を引く本がありました。

「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?」

 

近年、アートの持つ可能性に注目が集まっているのを感じます。

 

美術大学を卒業し、社会に出てアートギャラリーを運営していたころからはや20年。

 

その頃から、何となく思っていたことが、世界的な規模で研究され、発表されてきています。

 

まずここで言う「美意識」とは何か?と興味を持ったのですが、ここでは単にデザインや広告、美しいものを感じることといった、

 

クリエイティブの領域に関するものだけではありませんでした。

 

正に、私がアートに感じている、様々な分野に活かしていかれるポテンシャルを、わかりやすく解説してくれていました。

 

・ビジョンの美意識
・行動規範の美意識
・経営戦略の美意識
・表現の美意識

 

こういった幅広い事柄に、美意識が関わってくると書かれていました。

 

そうです!アートはどんな分野にも関わりあっているものなんです!

 

またこれらの能力を向上させるのに、アート(文学、音楽、詩、哲学も含む)を学ぶことが有効であるというのです。

 

今日は、この本を読んでみて、今まで以上にアートの持つ可能性を感じたので、アートスクールを運営する中で、私の役割や思い、デッサンやアートに感じていることを、書いてみようと思います。

松原美那子のピリカアートスクール

まず、ピリカアートスクールの当初からの思いとして、社会とアートを繋げたいという思いがあります。

 

アートとの関わりの一歩として、比較的取り組みやすく、尚且つ絵を描く上での基礎になる、デッサン

をお伝えすることにしました。

 

スクールを初めてみて、実際にニーズがとても高いということも、実感しています。

 

また、デッサンをお伝えする中での拘りとしては、やはりアートを好きになって欲しいし、良い作品を創りだして欲しいという気持ちも大きいです。

 

その為「ひとりひとりのニーズに寄り添って上達に導く」という指導方針があります。

 

受講生には毎回任意でアンケートをお願いしていますが、皆さんがデッサンを学びたい理由は本当に様々だということが分かります。

 

「あなたはどういう絵を描きたいのか?」

 

「絵を描くことを通してどうなりたいのか?」

 

添削アドバイスをする際には、受講生にこれを繰り返し書いてもらうようにしています。

 

基本のモチーフが上手く描けるようになったとき、

 

「どんな自分になっているのか?」

 

「どんな絵を描きたいのか?」

 

デッサンを習いたいという生徒さんは、そもそも、なんらかの美しいものに関心があるとか、何かを表現したいという理由があって、デッサンを学びにいらっしゃいます。

 

ですが、詳細な目標を持っている方というのは、全体の割合で考えると少ないように思います。

 

そこで、これから向かう場所を、視覚的にありありとイメージが湧くように、各自の「美意識」=「どうありたいのか」と向き合うことを意識して欲しいと考えています。

 

それは「どうしたいのか?」が明確な人ほど、頑張れるし、短期間で上達する傾向があるからです。

 

デッサンが上達したかどうかというのは、明確に数値化できるものではありません。

 

実際には、始めた頃と、回数を重ねてからの絵を比べると、上達は目に見えるものではありますが受講生の目指すところに、少しでも近づけるようになることが私たちの目標であり美意識です。

 

本書には「美意識」を持つことのメリットが、研究結果と合わせて、いろいろな側面から幾つも書いてありました。

 

どれも、その通りだなと、腑に落ちるものばかりでした。

 

気になる内容がたくさんあったので、一度にはまとめ切れないのですが、「美意識の鍛え方」として、私がいつも述べている「観察眼」を養うことに関して書かれている部分がありましたので、私の考えを交えて、お伝えしてみようと思います。

松原美那子のピリカアートスクール「観察眼」を鍛える手段として、絵画鑑賞が上げられていました。

 

1、何が描かれていますか?
2、絵の中で何が起きていて、これから何が起こるのでしょうか?
3、どのような感情や感覚が、自分の中に生まれていますか?

 

これを、数名で意見を出し合いながら、見ていくそうです。

 

じっくり見ていくことで、最初に目に入ってきたものだけでなく、徐々に細部の情報まで見えるようになってきます。

 

更に、同じ絵を見ているにも関わらず、自分とは違う意見が出てくることからも、「自分にとっては当たり前と思っていたことが、必ずしも他の人にとっては当たり前ではない」ということへの気づきが得られるとありましたが、これは、絵画を見るときだけでなく、デッサンを描く時にも全く同じことが言えるのです。

 

こうやって議論を繰り返す中で、「見えていなかったことが見える」ようになるのです。

松原美那子のピリカアートスクール

デッサンを描く時にも、まず一番はじめに、対象物を感じて、言語化することを推奨しています。

 

パッと見の「第一印象」を大事にしつつも、モチーフをじっくり観察するなかで、細部の情報を読み取っていきます。

 

はじめは、なかなか細部の情報が読み取れません。

 

訓練を積むと、同じものを見ていても、違った角度から、深い部分の情報が見えてくるのです。

 

それから、描き始める前に、理解し把握したと思っていたにも関わらず、実際に描いてみると、まだまだ見えてくるものがあります。

場合によっては、刻々と変化する光と影、静と動。など、

 

観察は常に続くのです。

 

事前に予測している部分と、やりながらに、軌道修正していく部分と、絵の完成に向けて両方が必要です。

 

先ほどの、絵画鑑賞の話に戻りますが、エリートと呼ばれる人たちは、こうやって得た知識をパターン認識していくのが得意です。

これは効率が良い反面、過去のパターンに当てはまらない新しい出来事に直面した時に、どう対応すれば良いのか?という問題も出てきます。

 

パターン認識力の高さが、そのまま問題解決の能力に繋がる訳ではなく、むしろ状況を見誤らせるケースもあるのです。

 

それは、こうであるはずだという「思い込み」や「固定概念」といった部分です。

 

そんな時にこそ、何が起きているのかを<純粋に客観的に「見る」>ということが大切なのだと、デッサンを学ぶ中で、私もそれは同じことを感じています。

 

デッサン学問であるため、在る程度パターン化してお伝えすることができます。

 

「こういう時は、こうやって描きましょう。」

 

「こんな風に描くと、上手く行きますよ」

 

大抵のことは教えられます。

 

だから、一般の絵画に比べて、教えやすいし学びやすいです。

 

しかし、日頃デッサンをお伝えしていて、また自分が描いていても、手順通りに進まないこともあります。

 

どんなに描いていても、毎回初めてのモチーフを描く時には緊張感があります。

 

常に新鮮な気持ちで、対象物を見るということを忘れてはいけないと思っています。

 

これは「こうせねば」というよりも、そうすることが「楽しい」ことなのだと思うのです。

 

パターン化できる部分と、新しい変化への応用力を身につけながら、感覚を大切にしていくべきところのバランスは、常に持っていられると良いですね。

 

これは本にも描かれている「サイエンス(分析)(理論)(理性)」に加え、「アート(直感)と(感性)」の両方を磨くということにもなると思うのです。

松原美那子のピリカアートスクール

モチーフの特徴、複数のモチーフ同士の関わり合い、光の加減によってできる陰影の様子、その場で感じる空気感、匂いや温度、など、まさにモチーフとの出会いは一期一会です。

 

毎回、小さな画面の上で、「あーでもない、こーでもない」と、それこそ過去のパターンに当てはめながら、またパターンに当てはまら無い部分を楽しみながら格闘するのです。

 

思い込みでモノを見ている時、どうしても上手く行きません。

 

ただただ、自然に、そこに在るものを「見たままに描く」ということが、やはり一番大切である気がします。

 

「見たままに」というところをもう少し掘り下げていくと「何をどう見ているのか?」ということになりますが、それは結局のところ、「自分が感じたこと」であり「微細な違いや変化を感じ取る」ということなのかなと思います。

 

「どうしても人物の顔が似ない・・・」という時、おそらく原因はひとつではありません。

 

輪郭が違う、パーツの形が違う、パーツの配置が違う・・・・、ほんのちょっとの違いが積み重なって
「似ていない」という現象に至っているのです。

 

軌道修正するには、

 

まず「正確な形を把握する」

 

次に「違いを認識する」

 

そして「どこを修正すれば良いのか推測する」

 

最後に「実行してみる」ということです。

 

多分、何をするにもこの手順は同じなのではないかと思います。

松原美那子のピリカアートスクール

デッサンを描くことは「本質を見る目」を鍛えることになります。

 

そして、より正解に近づけるために、客観的に冷静に画面を見て、仮説を立て、実行してみる。

 

この思考を鍛えることにもなります。

 

もう一つ、デッサンや絵の面白ところは、同じようにパターンを駆使して描いた「見たままの絵」が、いざ仕上がってみると、誰一人、同じに絵になることがない。ということです。

 

それぞれ良いところはあるはずなのです。

 

良いところを認めあうというスタンスが私は好きなのですが、在る程度描けるようになってからは、好きか嫌いか」各人の判断やこだわりの領域になってきます。

 

技術を習得した先に、あなたは何を表現したいのでしょうか?

 

デッサン力が向上する中で、悩み壁に感じる部分が出てくるかもしれませんが、そんなときこそ、何かに気がつく為の、美意識を学べる良いチャンスのようにも思います。

 

「美意識」という言葉を度々使ってしまいましたが、本の中ではもっともっといろいろな可能性を示してくれています。

 

気になった方は、本の方もご覧になってみてくださいね。

 

内容が盛りだくさんだったため、また見返しながら、これからも気になるところを少しづつ発信できたらなと思っています。

 

 

あ、みなさん「デッサンを学ぶべきです!」というお話ではないですよ(笑)

 

「学んでいるけどなかなか続かない〜」という方に、デッサンの持つポテンシャルをお伝えしたかったので、書いてみました。

 

少しでも、何か伝われば嬉しいです^^

 

 

 

 

最近畑仕事にはまっているので、またまたその話題ですが、今週の沖縄は台風が来たにも関わらず、雨が殆ど降りませんでした・・・。

風除け対策もし、念のための準備をかなりしたのですが、結局無駄骨でした・・・汗

 

野菜は何事もなく無事だったので、結果的には「良かった」ということにしましたが、天気予報を見ながら「降る降る詐欺だね」と友人たちとホースで毎日水やりをしています。

 

沖縄はそろそろ水不足が心配です。

 

適度な雨が降りますように!^^

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