モモのデッサンの描き方について
今回は、たった一本の線の引き方で、ボリューム感が全く違って見えるというお話をしてみます。
これは、受講生の方が描かれた桃のデッサンです。
まずモチーフの画像をご覧ください
【画像①桃モチーフ】
次に、鉛筆デッサンで描かれた作品の画像をご覧ください。
かかった時間は3時間半。
【画像①桃作品】
なかなかうまく描けていると思いませんか?
ご本人のコメントは
ということで、前回描いた「モモっぽいと言われたリンゴ」はこちらです。
こちらも、温かみがある作品で、決して悪いわけではないのです。
ですが、リンゴのツルッとした質感と、モモの毛羽立つようなマットな感じを、描き分けられるように練習中なので、自分の鉛筆の表現が、どんなモチーフにマッチしているのかを知るということも大切ですね。
「前回モモの質感と言われたので、今回はモモを描いてみました!」というのは、ナイスな発想です♪^^
このように目的を持って練習をするというのは、とっても大切なことで、何となく描くよりも数倍得るものがあるはずです。
前回の添削内容を生かしながら、今回はモモの質感、綺麗に出せていますね♪
でも、ひとつひとつ「見かた」を養っていくことで、段々と改善ポイントにも自分で気が付けるようになりますよ。
そのためのトレーニングです!
では、モチーフとの違いや改善点を一緒にみていきましょう。
今回は添削画像をUPしてみます!(担当は山田講師です^^)
ひとつずつ改善点を解説していきますね!
改善点① 暗さをプラスすることで存在感が増す
先ほど、「薄眼をあけてみると、違いが分かりやすいですよ。」とお伝えしましたが、やってみてください。
モチーフと比べると、暗さが少し足りないということにお気づきでしょうか?
改善点①としては、暗い(濃い)部分は、もう少しはっきりと色をのせましょう。
暗さを置く事で、色幅が増やせます。
グラデーションスケール(グレースケール)を参考にしながら確認すると分かりやすいですね。
より暗さ(濃さ)を増すことで、明るい部分との色幅の「差」ができるので、全体の色幅も広がるということです。
特に、テーブルとの接地面(境目)には丁寧に暗さをプラスしてみましょう。
すると、モモの重さも感じられるようになりますね。
また、明・暗の差を出す事で、立体感も表現することができますね。
(光の方向を確認しながら、明暗の大きな流れを掴みましょう!)
因みに、モモは球体に近い形なので、一番手前にくる部分は中央部分の1点です。
また、上部から光が当たっていることと、テーブル面からの反射光もありますので、中央横部分が一番影になります。
これも「薄眼」で確認すると分かりやすいと思います。
球体に上から光が当たっている時には、中央部分が暗くなるというのは、セオリーでもありますので、しっかり覚えていきましょう。
改善点② 一本の線の持つ影響力について
2つ目の改善点ですが、今回のモチーフで、皆さんに最もお伝えしたかった重要な部分です!
それは、中央に入っている「割れ目の線」です。
もう一度、モチーフと作品の違いを見てみましょうう。
あまりピンとこないかも知れませんので、線だけで表してみました。
添削画像の⑥をご覧ください。
桃の特徴を表す重要な「線」ですが、「こんな感じ」と、さらっと描いてしまってはいけません。
たった一本の線の、ほんの少しの角度で、これだけ見え方が変化します!
実際に多くの受講生が、どのように描いているのかも見てみましょう。
同じモチーフを描いているのにこんなに違うんですね・・・
この線のほんの少しの違いが、こんなにも大きな違いを生んでしまっているのです。
よく、アウトラインの線は、ほとんど狂いなく綺麗に描けているにも関わらず、中身の「量感」がうまく表現できていない方がいらっしゃいます。
この「見かた」と「考え方」ができていないからです。
大きさが同じでも、中身の凹凸が違うと、モチーフの持つ印象が変わってきてしまいますから要・要・注意です。
たった一本の線で、桃の膨らみ具合や、下の見えない面に向かって回り込んでいる様子を、同時に表現する事ができてしまうのです。
要するに、短時間で桃を表現するとなると、周りの輪郭線を描いて、その後この一本の割れ目の線を丁寧に描けていれば、ある意味「桃」らしく表現できてしまうのです。
ですので、丁寧に丁寧に描いてくださいね^^
・一本の線の持つ影響力を知り、丁寧に描くようにしましょう。
いかがでしたか?
今回は一本の線の持つ意味を実感していただきたいと思い記事を書いてみました。
参考にしていただけたら嬉しいです♪
受講生の方は、基礎添削掲示板【 No.2806 桃 】をご覧くださいね!