小学校の先生になるには「小学校教員免許資格認定試験」を受験する必要がありますが2次試験でデッサンの実技があります。
そこで、実技のデッサン対策として講座を受講されている方に向けて、直近2年の出題問題から、試験対策を考えました。
ピリカアートスクールの受講生からのご質問内容についても、合わせて回答していますので、シェアさせていただこうと思います。
H28年度 鉛筆による素描 銀色折り紙の上の紙コップ
試験時間は1時間。100点満点中60点以上で合格。【受講生からの質問内容】
デッサンと素描の違いがいまいちわかりません。 もしアドバイス等いただけるようでしたらお願いします。
まず、過去の試験問題を見ると、組みモチーフ(複数のモチーフが組み合わさっているもの)のようですが、この場合、描く前に構図をしっかり考える必要があります。
画面の中に出来るだけ、ゆったり配置するようにしましょう。
また、大きさのバランスを出来るだけ正確に描くことが大切です。
どちらかが大きかったり、小さかったりとアンバランスにならないよう、比率を確認することを忘れないように注意してください。
それから、目の前のモチーフを、モノクロに置き換えた時に、どのくらいの色をつける必要があるかを考えてみましょう。
慣れないうちは、携帯のカメラでモノクロに変換するなどして、イメージを持てるようにトレーニングすると良いと思います。
なぜこれをするかと言うと、画面全体の中で、鉛筆の色を付けるべき所にしっかり付けられるかどうかで、絵の印象が変わってくるからです。
鉛筆の扱いに慣れていないと、なかなか濃い色をつけることができなかったりしますが、濃い色を付けられないと、必然的に中間色(グレー)の色幅が減ってしまいます。(グラデーションスケールを作ってみると分かりやすいです。時間がなければテキストご参照ください)
また、ある程度完成のイメージがつかめていれば、怖がらずに一気に色を付けられるので、時間短縮にもなります。
まとめると、
・画面の中に出来るだけゆったり配置する
・大きさのバランスを出来るだけ正確に描く
・モノクロに置き換えたところをイメージし鉛筆の色をしっかりのせる
この3つになりますが、落ち着いてこれがしっかりできれば、有る程度バランスの良い絵になりますので、意識してみてください。
オススメなのは、過去問題のモチーフを描いてみること!
必ず一度は、過去問題に沿って実際にデッサンを描いてみてください。
今回であれば、まずは内容が分かっている、この2つのモチーフに取り組んでみましょう。
「白い紙の上の卵」
「銀色折り紙の上の紙コップ」
H27年度出題の「白い紙の上の卵」は想定デッサンとなっていますので、本来はモチーフを見ないで「想像しながら描く」という課題ですが、練習の際にはモチーフを用意して描いてみてください。
私の想像ですが、想定デッサンの出題意図は、「明暗を使って立体を表現出来るか?」といったところが見られていると思います。
何故かというと、光の当たる角度に対して、陰影がどのようにつくかは、「理論」を理解していれば、モチーフを見ずとも、有る程度描けるからです。
そして、モチーフ自体は、誰もが知っているシンプルな形のモノで、実際に見なくても描けるからです。
光はできれば一つの光源に絞った方が分かりやすいです。
その際、光源は左または右斜め上に想定すると陰影が描きやすいです。
(更に、右利きの場合は、左上から光を当てた方が通常は陰影を描きやすいです)
それから、構図に関しては、ここもまたとても重要なのですが、組み合わせが無限にあるため、ここでは割愛させていただきますが、この方には、添削の際に作品を拝見しながら「セオリー」をお伝えしています。
忘れてはいけない!制限時間について
それから、もう一つ重要な事。それは、制限時間をしっかり計るという事です。
今回の試験は制限時間が1時間です。
時間内で、ちゃんと描きあげる事が出来るのか?
場合によっては、時間が余ってしまうケースもあります。
時間内に構図を組むのであれば、構図を考える時間も必要です。
与えられた時間内で、最大限の完成度を出せるように、戦略を立てましょう。
「デッサン」と「素描」の違いについて
「デッサン」と「素描」、記載の違いがあると「何が違うのかな?」と、理由を考えてしまいますね。
いろいろな解釈があり、調べると細かく出てきて混乱されるかも知れませんが、今回の1時間の試験の中では、出来る事も限られますので、ここではどちらも同じと考えて良いと思います。
・デッサン=フランス語
・素描=日本語
という程度の理解で大丈夫だと思います。
(デッサン・素描・スケッチの違いについては、また別の所で書いてみたいと思います。)
小学校の先生は、いろいろな科目を担当するため、受験勉強も多岐に渡るのでは無いかと思います。
時間の無い中で、出来るだけ効率よく進められるように、すぐに使える要点を考えてみました。
実際には、作品を拝見し、どこまで描けるのかによって、学習する内容が変わってきますが、基本は上記の部分をまずしっかり押さえることからだと思います。
簡単なようで、結構大切なポイントですので、是非、取り入れてみてください。
試験当日も落ち着いて、力を発揮出来ますように!(^ ^)