No.4910 静物(その他) アグリッパの石膏像 Y
【添削回数】7回目
【年齢】40代
【モチーフ】アグリッパの石膏像
【製作時間】6時間
【トレーニング内容】右脳トレーニング、人体クロッキー、模写
【描く目的】仕事で必要なため、人物デッサンの基礎を学びたいと思いました。立体的な体が描けません。目標は、何も見ずにどんなポーズでも描けるようになる、人体を正確に速くリアルで立体的に描けるようになる。
【気を付けたこと】前回のオンラインカウンセリングでアドバイス頂いた課題「アグリッパの面取り」を描きました。
・石膏像は初めて描いたのですが、6時間はさすがに時間がかかりすぎた気がします。形取り2時間、頭部と首の陰影2時間、首の下部分の陰影30分、陰影の修正1時間30分かかりました。
・光源は左上です。たまに目を細めてどこに濃い影ができるかを考えながら影を描いたのですが、色の濃さのさじ加減が難しかったです。立体的に描けているでしょうか?
厳しめで添削よろしくお願いします。
ピリカアートスクールが一番上達できる理由とは?
ビジネスデッサン講座では、プロのデッサン講師による添削アドバイスを受けることができます。
添削アドバイスは、受講生の方同士がお互いに作品、添削アドバイスを共有し、モチベーションを高めあい、描く力を身につけて行く、上達への近道にして頂けたらと考えております。
人の作品を見ることももちろん勉強になりますが、自分の作品を添削されると、自分事として、見ることができるので一気に上達することができるようになります。
特に添削アドバイスを喜んでいただけていて、とても嬉しいです!
自分では気づいていなかった点もアドバイスしていただき、とても勉強になったと思いました。
教材があることによって独学より、デッサンの勉強を継続しやすいと思いました。
動画などもあるので、とても分かりやすいです!
実際に添削アドバイスを体験しましたがやっぱりなにをするのか教えてくれる。
それがすごくありがたいです。
では、ピリカアートスクール講師の添削アドバイスをご覧ください。
この記事の目次
復習添削については、こちらの記事をご覧くださいませ。
添削いたしました ピリカアートスクール矢野
ピリカアートスクールの矢野と申します。
Yさんの石膏デッサンを拝見しました。
どうぞよろしくお願いいたします。
【制作時間】6時間で描かれたようですが、細かい凹凸や明暗の変化をよく観察していらっしゃいますね。
面と面の境界をピシッと明確に描き分けて下さっていて、石膏らしい硬い質感も伝わってきます!
【描く力を身につける目的】「仕事で必要なため、人物デッサンの基礎を学びたいと思いました。立体的な体が描けません。何も見ずにどんなポーズでも描けるようになりたい」
きちんと目的を持って取り組まれていて素晴らしいです。
今回描いて下さったアグリッパは「面取り」の勉強に適していて、『リアルな人体を正確に、速く立体的に描けるようになる』という目的にピッタリの題材だと思います!
真っ白な石膏像はカラー(色彩)に惑わされることがありませんし、「面」の存在がはっきりと分かるので、立体感を把握しやすいです。
形、トーン(濃淡)、鉛筆の使い方など、当添削を通して基本的なモノの見方を勉強していきましょう!
まずは全体のシルエットと比率を確認して下さい。
資料1(モチーフ画像)と資料2(Yさんの作品)を見比べて頂くと、作品の首と胸部の範囲が、やや広いことに気付かれると思います。
両肩の角度はよく測れていらっしゃるので、頭部より下の面積をもう一度チェックしてみて下さいね。
ポイントは下描きの段階で、全体のシルエットを捉えておくことです。
人物のムーブメント(動き)を捉えましょう
資料2で石膏像の外側の接点を繋いで、大きな四角を作ってみました。これで石膏像の全体のタテとヨコの比率が分かりますね。
画用紙のどのあたりに、どのサイズで石膏像を収めるかを決める目安にもなります。
更に十字線を引いて、四角を4分割しました。それぞれのマス目に見えている石膏像の形を観察しましょう。
余白の形(黄緑色)も参考になるはずです。もし分かりにくければ、四角をもっと細かく分割するのもアリですよ!
こうしたグリッド線は、正確な形や比率を測るときには有効です。ぜひ積極的に試してみて下さいね。
大体の比率やシルエットが掴めたら、人物のムーブメント(動き)を捉えていきましょう。
頭→首→肩→胸の繋がりをよく観察して下さい。それぞれの関節や傾き、面積や立体感が曖昧に描かれていると、なんとなく動きの硬い人形のような雰囲気になってしまいます。
全体の大きな動きと、パーツの細かな動きを確かめるために、資料3では石膏像にセンターライン(正中線)を引いてみました。
上から頭頂部、眉間、鼻筋、顎先、鎖骨の中央、胸元まで、ちょうど真ん中に線を引くと石膏像のポーズが分かりやすくなります。
線を引きながら頭部の方向、首の傾き、胸部の方向を確認しましょう。
各パーツを丁寧に観察して違和感を探しましょう!
資料3でセンターラインと交差するヨコ線は、髪の生え際、眉、目、口角、顎など、各パーツの傾きを示しています。
よく見ると、頭部がほんの少し右側に傾いていますね。それに伴って各パーツも右側に傾いています。
Yさんのデッサンではこの傾きがまだ少し弱いように感じられます。個々のパーツはとても丁寧に形を観察されているので、今後はちょっとしたサイズ・角度・面積の差を調整してみて下さい。
今まで見逃していた違和感を1つでも発見できたら、観察力が上がっている証拠ですよ!
石膏像を含めて人物画は僅かな違いがあると目立ってしまいます。人間には柔らかな動きがあるので、見えない接合部も想像しながら修正を繰り返していきましょう。
ムーブメントを表現できれば、人間らしい自然なポーズを描けるようになります。
ご質問内容に【目を細めてどこに濃い影ができるかを考えながら描いたのですが、色の濃さの匙加減が難しかったです。立体的に描けているでしょうか?】とありましたが、目を細めて見ているおかげか、全体の印象は凄く良いと思います。
Yさんのデッサンを遠くから眺めると、白色から黒色までグレーの色幅をしっかりと使われているのが分かります。濃い陰影が掛かる箇所もよく観察されていますね!
他の部分の陰影と見比べながら描きましょう
参考までに、資料4でトーンを色分けしてみました。
ハイライト(黄色)、ハーフトーン(緑色)、濃いトーン(紫色)というように、全体を3段階くらいのトーンに整理して進めていかれると、あとから色の匙加減に迷うことが少なくなると思います。
濃い陰影を描くときは、必ず他の部分の陰影と見比べながら描きましょう。
例えば左耳のもみあげ付近、鼻筋の右側、上唇などは非常に濃い色で描かれていますが、実際は鼻下や顎下の陰影よりも僅かに薄いトーンだと思います。
陰影が濃い1本線のように見えてしまうと悪目立ちしてしまうので、全体をよく見渡しながら、3段階のトーンの範囲内で調整してみて下さいね。
最後に鉛筆のタッチについて見ていきましょう。
モチーフの立体感を表現するためには、鉛筆のタッチも工夫する必要があります。現時点でYさんは、トーンを乗せる際にあまり鉛筆の線を残さないように描かれていますよね。
モチーフや表現方法によってはそれも良いと思いますが、デッサンで立体を描く場合は、鉛筆の線を活用するのがオススメです。鉛筆を立てて色々な角度の線を重ねてみて下さい。
線を重ねるときは、モチーフの面を意識しましょう。
アグリッパの頭部はかなりボリュームがありますので、大きなカタマリを感じさせるデッサンをして頂きたいです。
見方としては、目や鼻や髪を一度無視してみると良いかもしれません。
頭部をシンプルな1つの球体と考えてみて下さい。球体には正面があり、側面があり、そして描き手からは見えない反対側の面へと続いていきます。
目を閉じて、現物のアグリッパを触ってみると頭部の丸さや厚みを感じられるはずです。石膏像が近くになければ、ご自身の頭部で体感できますね。
Yさんの手で触って感じたような立体感を鉛筆の線で表現しましょう。
資料3で、簡単な面の方向性(矢印線)を描いてみました。
頭部を見るときに、このような見方をすると鉛筆の線を運ぶ方向が分かってくると思います。
この面取りのデッサンに取り組みながら・・・
あなたの作品を拝見させていただくのを楽しみにしています!
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添削アドバイスを受けるとなぜ一気に上達できるのか?
その理由は、こちらの記事をご覧くださいませ。