ビジネスデッサン講座では、プロのデッサン講師による添削アドバイスを受けることができます。
添削アドバイスは、受講生の方同士がお互いに作品、添削アドバイスを共有し、モチベーションを高めあい、描く力を身につけて行く、上達への近道にして頂けたらと考えております。
ビジネスデッサンの添削アドバイス掲示板は、2011年1月より運用しており、数千作品が投稿されております。
今現在は、6種類の掲示板がご利用いただけ、技能検定も受けることができます。
- 基礎添削掲示板
- デッサン/スケッチ掲示板
- 10分間掲示板(初心者向け)
- 漫画/イラスト添削掲示板
- 水彩画掲示板
- ビジネスデッサン技能検定
ビジネスデッサン技能検定とは?
課題に指定したモチーフを描いて頂き、その作品に対して、「形を取る力」、「陰影表現力」、「描写力」などの各項目ごとに点数をつけ、あなたの画力をグラフで表示いたします。
このビジネスデッサン技能検定を受けることにより、あなたの画力は、どの部分が得意なのか不得意なのか明確になります。
そして、得意な部分はより伸ばせるように、また不得意な部分は意識的にトレーニングを取り入れていただくことで、より効率的に上達することが可能となります。
褒められて伸びるタイプ、厳しい指摘で伸びるタイプ、人それぞれですので、甘口審査、辛口審査を希望することができます。
さて、どんなアドバイスになりますでしょうか。
No.103 空き缶 空き缶(基礎添削用モチーフ7/12) yasu
【添削回数】10回目
【審査基準】辛口審査希望
【製作時間】約1時間
【気を付けたこと】
自分のデッサン力がどのくらいあるか客観的に審査してもらいたく投稿しました。影の付き方を意識して書きました。今回いただいたアドバイスを基に今後のデッサンに活かしていきたいと思いますのでよろしくお願いします。
No.105 空き缶 空き缶・添削いたしました ピリカアートスクール山田
作品拝見しました。
添削をさせていただきますピリカアートスクールの山田と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。
このモチーフの缶は、円柱として、一見描きやすそうにも見えるのですが、意外と陰影が難しく、缶の上部の部分に、重なった楕円形が多く、斜めに傾いたプルタブのカタチや、穴の状態など観察するべき個所が多くあります。
作品の缶の胴体部分の陰影は難しい部分ではあるのですが、よく捉えることができていると思います。
もう一歩描きこみがあると更によくなりますね!
缶の縦横比=高さと幅の比率も、それほどくるっているわけではないです。
ただ、今回提出された画像は図③の状態です。
この③を見る限りでは、垂直線であるべき縦方向のラインが完全に斜めになっています。
缶が左に傾いています。
はたして、缶が斜めに傾いているように描いてしまったが、そのことに気づかなかったのか、もしくは図②のように描いたけれども写真を撮る際に写真が斜めに傾いたようになってしまったのか・・・このどちらかだと思われます。
どちらであっても、良くないことです。
作品の出来、不出来ではありません。
作品がどちらかの状態で描かれていることで、添削・アドバイスの仕方が変わってくるからです。
缶が左に傾いたように描いてしまっていたとしたら、多少のゆがみはOKとしても、ある程度まっすぐな垂直線を引く練習をすることが先決。
作品写真を撮る角度を間違えてしまったとしたら、それをそのまま添削に出すのは良くありませんね。
ということで、あなたの作品が②か③かわかりませんので、一応、線を垂直に近い状態で描けているとして②の状態での作品として添削させていただきますのでご了承くださいね。
もし③が正しい作品であるとするなら、90度の線、垂直線をしっかり引くところから練習を始めないといけません。
線は斜めになっていますが、ある程度まっすぐな線になっている点は良いですよ。
では、ポイントごとに見ていきましょう。
【形をとる力】
図①④を見てください。
この缶を描くとき、縦横の比率を把握しておくことが大切です。
このモチーフの場合、缶の幅をBの長さとした場合、高さはAの長さでBの約2倍の長さになっています。
全体をシンプルな形、図④のEのような形=長方形としてザックリととらえてみることです。
そうすることで、だいたいBの長さを一辺とした正方形が縦に二つ並ぶ形状であるととらえることができます。
そして、この長方形の中に缶の形を納めていくことで、缶の縦横比を崩すことなく大まかな全体の形をつかむことができます。
作品②は缶全体の縦横比は、ほぼほぼ合っていますが、缶のトップの飲み口位の部分が極端に小さく描かれていることがマイナスです。
図⑥で比較すると良くわかると思います。
缶の上部の楕円形の見え方が全然違うことがわかりますね。
図⑥の作品は、モチーフを見ている目線よりももっと高いところから缶を見下ろしているような図で描かれてしまっています。
そのため、楕円形だけを比べると、作品の楕円形は縦幅が広くなっているのです。
モチーフと同じように、縦幅の狭い薄い楕円形を描く必要があります。
【固有色表現力】
このモチーフに限っては固有色というものはなく、モノトーンでとらえることで、比較的表現しやすいのですが、陰影のつけ方には注意を払う必要があります。
白い紙に白い缶を描くのはむつかしかったのではないでしょうか?
作品②の缶の左側の部分、G2の部分に、缶の形を縁取るようなラインが濃く描かれています。
デッサンでは、形を描くとき、線描きでモノの形を縁取るようなラインは入れないことです。
このモチーフの場合、缶自体の白さの部分にはほとんどタッチを入れなくても、背景のトーンを落とすことで、缶の白さが浮き上がってくるのです。
背景のトーンを落とさないとしても(背景を描きこまないとしても)、作品ほど濃い太いラインで形を縁取らないようにしましょう。
このモチーフの場合は、背景を描きこまないとしたら、ほんのうっすら、輪郭のラインが入るか入らないかの程度にとどめておくことです。
【質感表現力】
缶の胴体部分を描く際、鉛筆を寝かせて、画用紙の表面を滑らせるように、軽~くぬりこんだ感じで描かれています。
作品はこの段階からさらに描きこんだり、ぼかしをつけたりすることで、缶の表面の硬くてさらっとした質感が表現できるようになります。
缶の真ん中から右あたりを指やティッシュで軽くこすったり、練ゴムを軽く画面に押し当てるなどして明暗を調整すると良いです。
【明暗の表現力】
明暗の幅が狭いです。
このモチーフには、例えば缶の上部の真っ白な明るい部分から、缶の穴のほぼ真っ黒な部分まで、色幅(トーンの幅)があるのです。
作品は明るいグレートーンの幅の中だけで仕上げられています。
最も明るい部分は、何も描きこまない画用紙の地のまま、真っ白に残す部分があってもいいのですよ。
真っ黒になる穴の部分はもっと思い切ってぐいぐい黒く描かなければなりません。
このようにしてトーンの幅を作っていくことで、どんどん立体としての絵が出来上がってきます。
【描写力】
カタチをしっかりと観察することが必要ですし、陰影についてももっと描きこまなければ、立体感や缶の質感が出ないのです。
もっともっとシンプルなモチーフ、例えば、ボールなど真っ白な球体や、一色だけの立方体(箱)などをモチーフにして練習してみることをお勧めします。
缶は比較的シンプルなモチーフではありますが、複雑な描きこみや、楕円の重なりの表現など観察と描きこみが必要な部分がとても多いので、意外と難しいモチーフなのです。
シンプルな形をしっかり描く練習もあわせて続けていってくださいね。
【立体感】
さきほども描きましたが明暗の幅が狭いために、全体的に平坦な感じになってしまっています。明暗の幅を広げることで立体感が出てくるはずです。
濃さ明るさの違いをよく観ることです。
図⑥の1と2の明暗の比較では、ほぼ黒と白です。3と4では、3は明るいグレー・4はもう少し明るいグレーといったところです。
もっともっと思い切って明暗の差をつけてみましょう。
【完成度】
観るべきもの、描くべきポイントはたくさんあるのです。
トーンの違いや、かたちの違いなどまだまだしっかりと見ることができていない部分が多いですね。
出来るだけシンプルなモチーフを見つけて、それを忠実に紙の上に再現するという練習もやってみてください。
それができるようになったら、徐々に複雑な形のモチーフをとり入れていけばいいのです。
マグカップやりんごなども良いのですが、単なる円柱とか円錐、段ボールの箱、石鹸の箱、など身のまわりにあるモノをモチーフにして練習をしてみてください。
一つ一つのシンプルなモチーフが描けるようになると、複雑なモノを描いても徐々に描写力がついてきているのが実感できると思います。
全体的にデッサン力の底上げをしていかれると良いですね。
出来上がった作品とモチーフを見比べて、どこが違っているかを自分で発見できるようになるだけも、どんどん上達しますよ。
よ~く見比べることがポイントですよ!
自分のペースで練習続けていってくださいね。
ぜひ、アドバイスの内容を参考にしてくださいね。
こちらの記事も参考にしてくださいませ。