No.4939 静物(自然物) 箱とビン しらす
【添削回数】六回目
【年齢】10代
【制作時間】一時間半
【画材】M画用紙、B,HB,2B鉛筆(+F,3B鉛筆)
【トレーニング内容】右脳トレーニング、45分で一モチーフを描く等
【気を付けた事】前回までと同じく入試に合わせ四角い物と丸い物をモチーフにしました。 私は四角い物を描くのが苦手で気を抜くとすぐ長さや形が歪んでしまったりするので紙を回転させつつ描くようにしました。
ただやはり実物と写真を比べるとビンのサイズが違っていたり少しふにゃっとした線になってしまっていたりとまだまだ反省点が多いな。という感じです。
特に、写真はかなり上の方からの視点になっていますがデッサンだと写真より下の方からの視点になってしまっている所が自分でも気になりました。
また、前回の添削の際にも少し触れましたが、少し前に志望校のデッサン講習会に参加してきて、志望校の先生に画用紙の種類を変えたほうがいい。と伺ったので今回は実際に試験の際に使われる用紙と同じものにしてみました。
【質問】冬季休業の間に学校の美術科の先生にデッサンの講評をして頂いたのですが、その際に私の志望校の実技試験では構図が重視される、という話を聞きありきたりな構図よりは少し変わった構図の方が良い。との事だったので、今回はこの様な構図にしてみました。ですが正直自分ではこの構図が良いものなのかがわからないのでそこについてもアドバイスをして頂けると幸いです。
今回もよろしくお願いします。
デッサン力を短期間で身に着ける方法!復習添削については、こちらの記事をご覧くださいませ。
目から鱗の構図について解説しています。
添削いたしました ピリカアートスクール山田
作品拝見しました。
添削をさせていただきますピリカアートスクールの山田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
とても難しいモチーフですが、箱の外形や厚み、ビンの輪郭を「線」を引くことなく、濃淡の違いで表現できていることはとても良いです!
ただ、図②のJMKのような箱の内側の面折れを「線」で描いてしまっていることは確実に減点対象になりますので注意してくださいね。
このような箇所に「線」を描いてしまうことだけで、「あー、この作品を描いた人はデッサンができないんだな」と判断されるということです。
厳しいですが、このような描き方は「減点対象」であるということを知っておくことです。
例えば「J」のラインを描かないで面折れを表現するには、Cの面とBの面の明るさの違いをよく観察して、その濃淡差だけで表現することです。
「線」を描いてしまうのはNGです。
では、ポイントごとに見ていきましょう。
【カタチ】について
図⑤の各面の面積の見え方の違いを見てください。
作品はGの面よりもAの面の面積のほうが大きく見えています。
モチーフでは、Aの面積のほうが狭く見えていることに気づかないといけません。
「気づく」というより、そのように見えるのが「普通」であるということです。
AとGの面では、Gの面のほうが広く(大きく)見えていなければなりません。確認の意味で簡単に説明しますね。
この箱は、モチーフを見ている自分の目の高さより「下」にありますね。Aの面より、Gの面は、より「下」にあります。
AとGは、実際のモノとしては同じ面積ですが、「目」の高さより下にいくほど、面積はより広く(大きく)見えるのが普通です。
同じような見方で、Cの面とDの面の見え方の違いを考えてみましょう。
作品はCの面よりもDの面の方が、面積が広く(大きく)見えています。Eの長さよりもFの長さのほうが長く見えています。
このような見え方は間違いで、実際は(モチーフは)Dの面のほうが狭く見えています。
これは、先程のAとBの面積の比較と同じような理由で、Dが狭く見えているのが普通であるということです。
Dの面の方が目の正面の位置に近く、Cの面の方がDよりももっと左側にあります。
つまり、実際のモノとしてはCの面もDの面も同じ大きさですが、見え方としてはCの面の方が大きく(広く)見えているのです。
このような、モノの見え方をしっかりと理解しておかなければなりません。作品はCとDの面積の見え方が「逆」になっているのです。
なぜそのように見えるのかという理由を知らなかったとしても、モノをよく観察することさえ出来ていれば、このような面積の見え方の違いも描き分けることができるのです。
現状では、観察不足ですから、もっともっとよくモチーフを観察することが大切です。全く観察が足りないのです。
ビンと箱の大きさの比率をみると、ビンの大きさが足りないですね。
箱の垂直線の延長ライン=Pとビンの口の位置を比較するだけでも、作品のビンが小さいことがよくわかります。
2つ以上のモノで構成されたモチーフを描くときには、モノとモノの位置関係やサイズ感をしっかりと比較しながら描いていくことが大切です。
【明暗・濃淡】について
図②のCやDの面のように、面の中の微妙な濃淡の違いを観ることができているのは素晴らしいです!とても良く観察されていることがわかります!
しかし、このような部分の微妙な違いを表現する前にすることがあります。
まずは、大きな「面」の濃淡の違いをザックリと掴んでおくことが大切なのです。
図①のABCDGの面の明暗を把握しておきます。5つの面の内Aの面が最も明るいことがわかりますね。
Aの次に明るい面はGの面ですが、Gの中でも影になっていない部分です。
その次が、Dの面。
そして、BCと、Gの影になっている部分はほぼ同じ濃さ(暗さ)になっています。
ですから、このモチーフの明暗を観るときには、「A」と「D」と「Gの明るい部分」と「BCとGの影部分」の4つの明暗を把握しておきます。
(作品はAとBがほぼ同じトーン=明るさになっていますが、モチーフではBの面が圧倒的に暗いのです。こんなにわかりやすい濃淡・明暗の違いを見逃さないようにしましょう)
このように大きくザックリと明暗の違いを把握した上で、作品のような微妙な明暗の違いを加えていくと良いのです。
微妙な明暗の違いだけを表現できていたとしても、全体的な明暗の把握ができていないことにはモノを観察できているとは言えないのです。
注意しておいてくださいね。
まずは、全体を掴んでから、その全体の明暗バランスを壊さないように細かい部分の表現に移っていくようにしてください。
【影】について
図⑥を見てください。
影の方向が適当すぎます。
「影」をいかに丁寧に描きこむことができるかで、作品の完成度がかわってきますよ。
「影」は適当にササッと描いておけばいいというものではありません。
「影」を描くことができない=デッサンできない。です。
また、ビンの口のほぼ真下で、少し離れたところに「影」があることで、ビンの口とテーブル面の間に空間があることが表現できます。
※図②のHや図⑥のQのような部分に余計なタッチを描くことはNGです。
モチーフにないモノを描いてはいけません。
もっともっとモノをよく観察することが必要です。
観察して描いたら、画面から目を離して、モチーフと作品をよく比較して修正をして更に比較観察します。
このように何度も何度も、描く→比較観察→修正→比較観察→描く・・・この繰り返して作品を仕上げていくようにしてください。
厳しいことをたくさん書きましたが、大事なことは・・・
あなたの作品を拝見させていただくのを楽しみにしています!
どんどん上達している受講生の声はこちらをご覧くださいませ。
添削アドバイスを受けるとなぜ一気に上達できるのか?
その理由は、こちらの記事をご覧くださいませ。