受講生
先日、人物モデルのデッサン会に参加したのですが、アウトラインを描くとき、「一本の線で描く方法」と「複数の線で描く方法」では、どちらの描き方で描けば良いのですか??

 

松原美那子
結論から言うと、1本の線で、1度で自分のイメージ通りの線が描けることが理想です。

 

普段、静物画のモチーフや写真画像を見ながら描く場合には、比較的落ち着いて描くことが出来ると思うので、一本一本の線を描くことについて、あまり意識が向かないかもしれません。

しかし、実際にモデルを前にして描く場合や、動くモデルを描くなどという場合、時間的に限られた中で短時間でモノを捉えようとする時など、この「線について」の疑問が出てくるかも知れません。

「一本の線で描く方法」と「複数の線で描く方法」では、どちらの描き方で描けば良いのですか??という質問の回答としては、

結論から言うと、1本の線で、1度で自分のイメージ通りの線が描けることが理想です。

なぜならば、何重にも線を引く必要が無いからです。

しかし、なかなか1度で完璧な線を引くというのは難しいものです。

だからこそ、より良い線を求める過程として、何度も何度も線を描き直すのだと思うのです。

「線」の持つ意味とは?

もし、作品として白い紙にデッサンを1つの絵として仕上げるのであれば、最終的には余分な線を消しましょう。

受講生
余計な線は消したほうが良いのですか?

松原美那子
作品とするならば、紙の余白は「空間である」という考えなので消したほうがいいですね。

 

また、その線があることによって、モノの形がぼやけてしまうからです。

もっと言うと、その線がなくても表現出来るのであれば、それは無くても良い線なのです。

 

しかし、「余分な線」とか「無くても良い線」なんて言い方をしましたが、アウトラインを複数の線で描くというのは、その中からより良い線を探す作業を繰り返したという軌跡でもあると思うのです。

その過程として描いた線は、例え紙に線の痕跡が残ってしまっていても積極的に良い線を描こうと努力した証として、私は好感を持ちます。

 

習作の場合には、その線を描いた過程のなかに、「自分がその瞬間に見たもの」「感じたもの」が蓄積されているので、敢えて消さずに残すという考え方もあります。

 

実際にドローイングやスケッチは、作品よりも貴重な財産と捉える作家さんも多いですし、鑑賞者からすると、作品として制作されたものや、時間をかけて描くデッサンよりもドローイングやスケッチ集(素描集)を見ることは、その作家の見る「視点」を学べる貴重な資料にもなり、作品とは別に違った発見があるものです。

1本線で描くメリットとは?

松原美那子
次に、1本線で描くメリットを描いてみます。
線を1本しか引かないので、描くときに緊張感が出てきます。

受講生
1本線で描くのは緊張しますね~

 

「失敗なしの一発勝負!」という感じですからね。

なので、描く前によりしっかりと観察もしますし、完成図をイメージして「さあ描くぞ!」という感じで描くのではないでしょうか?

それから、何度も線を描かないという点から考えると、陰影をつけて、立体感を出して・・・というデッサンともまた違う「瞬発力」が必要になってきます。

初めから「線だけで描こう」と決めて描き始めると、どの部分を描けばモチーフらしさが一番伝わるだろうか??と、その瞬間毎に考えて判断をしなくてはなりません。よって集中力が違います。直観力も鍛えられます。

因みに、鉛筆デッサンに拘らずに、マジックや筆ペン、ボールペンなど、消せない画材で線描きしてみると、「消せない」という緊張感からいつもの鉛筆と違う感覚が得られて新鮮ですよ。

身近な筆記用具でできるので、時々機会を作ってチャレンジしてみてくださいね。

松原美那子のピリカアートスクール

 

真っ白な紙に、あなたは何を描きますか?^^

そもそもアウトラインは必要か?

それから、普段お伝えしているデッサン画では、アウトラインは「最終的には見えなくなる線」としています。

受講生
見えなくなる線とは、どのような意味ですか?

松原美那子
そもそも「モノには線が無い」からです。

 

受講生
え??
モノには線が無い???

 

松原美那子
これ、皆さんあまり考えた事がないと思いますが、突き詰めて考えていくと、モノには線が存在しないのです!
身の周りのものを実際にてにとって眺めてみてください。アウトラインの線って、ありますか?

 

受講生
本当だ!確かに線が無いですね!!
びっくりです。

紙の上にモノを表現するのに都合が良いから、「手段として線を使っている」のです。

松原美那子
なるほど〜!って、今まで何人の方に驚かれた事でしょう(笑)

ここをしっかり理解できているかどうかで、線を使う時に混乱しないで済みます。

だから、大まかに形を決める「アタリ」の段階では、アウトラインの線を描くのは良いけれど、なくなることが前提だから「強く描かないでください」とお伝えしています。

要するに「すぐに消せるくらいの、薄い線で描いてください」ということなんです。

 

その理由としては、形自体は裏側に回り込むように続いているので、形を線で囲むというよりも、デッサンの場合、線の「中身を描く」という発想だからです。

 

アウトラインの形よりも、そのものの「量感(質量)」を表現するように意識を向けています。

ここに、その場所にそぐわない強い線を描いてしまうと、せっかく裏側に続こうとしている立体を、断ち切ってしまうことになるからです。

結局どちらが良いのか?

受講生
どちらが良いのかわからなくなってきました(笑)

 

松原美那子
アウトラインや線についての考え方を描きましたが、ここで、実際の作品をいくつかご紹介してみようと思います。

 

文章で解説するよりも、分かりやすいかも知れません。

 

1つ目は、彫刻家 エディ・ロースのデッサン
アウトラインではなく、中身の形を表現することに焦点を当てている作品です。

彫刻家エディ・ロースの作品

彫刻家は、立体物として形を表現するので、デッサンを描く際にも、アウトラインより中身の量感を重視する傾向にあります。また詳細な描写よりも、塊としての存在感や伸びやかなムーブメント(動き)を表現しようとしています。

 

2つ目は、「線の画家」と呼ばれるジャンセンの人物画

「線の画家」ジャンセンの作品
アウトラインを線で描いたとても美しい作品です。

 

比べてみると、違いが分かりやすいのではないかと思います。

松原美那子
では、アウトラインが線で囲まれているからダメなのか?
決してそんなことはないですよね?

受講生
はい、どちらも素敵な作品だと思います。

 

どちらも良い悪いではなく、最終的にはその方の描きたい表現に合った技法を選べば良いのです。

 

ただ、その前段階として、両方の描き方を知っておくことで、選択肢も広がります。
なので、いろいろ試してみると良いですね。

 

あと、中身の量感が感じられるようになると(立体として表現出来るようになると)、アウトラインの線1本を描くにしても、自然と描く線の形が変わってきます。

 

一本の線で立体を表現するということがどういう事なのか?というお話は、こちらで解説していますので、

参考にしてみてください。

 

「線で描くスケッチ」と「面で描くデッサン」は、どちらも学んで損はありません。

自由な線や形が描けることで、あなたの表現が、より生き生きとしたものになりますように!

参考にしていただけたら嬉しいです♪

 

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