皆さんは、デッサンを描こうと思った時、一番難しいと思うのはどんなことですか?
いざ描いてみると「形が取れない!」って感じること、ありませんか?
添削をさせていただく中で、モチーフ画像と画用紙にグリッド線を引いてから描いてみるといいですよ。と、ご提案させていただくことがあります。
「見たものをスラスラと描きたい」と言う時に、「グリッド線なんて面倒で描いてられませんよ!」と、思いますよね(笑)
私も面倒臭がりなので、凄く良くわかります・・・(笑)
でも、実際にやってみると、何も見ずに描いている時よりも、形をとることは容易になると思います。
デッサンを描く時に、「正確な形をとる」ということは、第一の壁だったりします・・・。
時々、何も考えなくても、いきなり形が取れちゃうんです!という方もいらっしゃいますが、大抵の方は、ここが一番苦労するかも知れません。
正確な形やバランスをとるということは、「見たままに描く」というデッサンを描く中で、結構重要な位置を占めています。
特に人物を描くときなどは、ほんの少し形やバランスが違うだけで、なかなか似てきません。
どんなにパーツごとがうまく描写できていても、最終的には似てきません。。。
そうなると、なかなか完成しないので、モチベーションも下がります・・・汗
結構、こういう方多いのかなと思います。
ここで止まってしまうと、添削アドバイスをする際にも、形の取り方をお伝えするだけで、かなりの時間を取られてしまうのです。
限られた添削アドバイスの回数も、繰り返し同じことをお伝えするだけでは、勿体ないですよね。
講師陣も、本当は形をとること以上に、もっと伝えたいことがあります。
例えば、立体の出し方、陰影の付け方、固有色がどうかとか、細かい描写の仕方、全体のバランスの取り方、などなど・・・
テキストで読んでわかっているつもりでも、実際に絵に反映できていないという事柄や、その方が気がつけていない癖など、個々の作品を拝見し、お伝えしたいことが山ほどあるのです!
なので、形をとることだけに、集中したくないんです・・・。
グリッド線を描くことを通して、ある程度形の取り方に慣れてきたら、何もない状態でモチーフを見て描いてみてください。
簡易のデッサンスケール(デスケル)を使うのも良いと思います。
多分、繰り返し描いていると、確認すべきポイントが段々と理解できるようになっているはずです。
学ぶ順番は大切です。
しかし、時に発想の転換で、違うアプローチから初めて見るのも「アリ」だと思うのです。
それから、先に立体の出し方や、陰影の付け方、固有色についてなど、違う知識を得ることで、より正確な形を見つける手がかりを得られるようにもなるのです。
例えば、良くお伝えするのですが、アウトラインが同じでも、中身の量感が合っていないと、そのものらしさが伝わりません。
「人物の頬」を描く時、アウトラインが合っていても、頬の膨らみ具合で、特徴が大分変わってきますし、「鼻」を描く時も、立体が出せていないと、どうしても似てきませんし、何よりリアリティが出てきません。
見たままにデッサンをするというとき、必要な要素がいろいろ組み合わさっているので、どうしても分けて説明することが多いのですが、実は描ける人は、同時に幾つものことを考えながらこなしています。
形を見ながら、量感も見て、量感を表現する際には鉛筆をどちらの方向に動かしたら立体感を表現しやすいかな?と考え、ついでに、固有色があるから筆圧はどのくらいで、どんな種類の鉛筆を使ったら良いかな?
人物を描くのであれば、服の下に隠れている形を考えたり、人体の骨格や構造を探ったり・・・
ざっと、こんなことを同時進行で考えながら描いています。
でも、慣れないと、どうしても一つのことに集中しちゃうんですよね。
目の前のことだけしか見えていないと、なんだかおかしいな?と気がついた時には、手遅れだったりして・・・。
焦らずに、全体を見られるようになってくると、パズルのように、ここはこっちを先にやると良いかな?とか、別の角度からも見られるようになるので、視野が広がり、落ち着いて客観的に見ることができるようになるんです。
すると、違和感に気がつきやすくなって、落ち着いて修正することができるんです。
デッサンを描くことは、いろいろなバランス感覚を養うことにも繋がると考えます。
何を優先すべきなのか?
違う角度からの打開策を見出すにはどうしたら良いか?
効率よく進める為には、何から取り組むべきなのか?
考えて、決断する。
最終的には、いくら考えてもやってみないと、わからないですからね。
でも、幸いなことに、鉛筆デッサンの場合は、消しゴムで消すことができるので、うまく行かなかったら、潔く消す。ということができます。
時間と労力をかけたとしても、経験という財産が残ります。
何も失うものはないですね!(笑)
ということで、思い切って描いていきましょう。
今回は、グリッド線を使うことに関して、お伝えしてみました。
「形が取れなくて、先に進まない。」とう方は、是非試してみてくださいね!
一気に壁を打破できるかも知れませんよ♪^^