ビジネスデッサン講座では、プロのデッサン講師による添削アドバイスを受けることができます。
添削アドバイスは、受講生の方同士がお互いに作品、添削アドバイスを共有し、モチベーションを高めあい、描く力を身につけて行く、上達への近道にして頂けたらと考えております。
ビジネスデッサンの添削アドバイス掲示板は、2011年1月からスタートし、現在までに数千作品が投稿されております。
今現在は、ジャンルごとに6種類の掲示板に分かれていて、ご希望に沿った内容で添削を受けることができます。
- 基礎添削掲示板
- デッサン/スケッチ掲示板
- 10分間掲示板(初心者向け)
- 漫画/イラスト添削掲示板
- 水彩画・油彩画掲示板
- ビジネスデッサン技能検定
デッサン力が身につくと油彩や水彩画もうまくなる!
ビジネスデッサン講座は、もちろん、デッサンの上達方法をお伝えしているのですが、実は「水彩画や油絵が上手くなりたくて受講している」という方が、かなり多くいらっしゃいます。
なぜ、水彩画や油絵のためにデッサンを学びたいのかというと・・・
- 簡単に始められると思って、水彩画教室などに通ってみたところ、下絵が全然うまく描けなくって・・・、
- 油絵でリアルな絵を描きたいんだけど、立体感の出し方や、明暗のつけ方が分からなくって・・・
と、言うように悩まれているんですね。
その原因は、どちらも、絵の基礎であるデッサン力が関係しています。
No.173 風景 F4 Psyche
ここでは、油彩画の添削アドバイスをご紹介したいと思います♪
この方は、デッサンと油彩の作品と、両方を勉強されています。
【添削回数】18回目(油彩としては6回目)
【制作時間】約25時間
【トレーニング内容】油絵の具、画用液、技法の勉強と練習
【描く力を身につける目的】心に響く油絵を描けるようになりたい。
【気をつけた事】
1)プロポーションを正確に取ること。
2)立体感、空間を表現すること。
3)質感を表現すること。
【今回の課題】有色下地、白色浮き出し、マチエールの習得
【質問・コメント】今回は写真がありませんでしたので、入門書の作例の絵を参考に描かせていただきました。
有色下地を作り、先にマチエールを作ってから色を重ねるという初めての方法でした。
最初は面白そうだったのですが、イメージだけで、形がはっきり見えませんでしたので、非常に難しかったです。
「木や草むららしいマチエールにする」と書いてありましたが、具体的な方法が分かりませんでした。
今回の構図のように遠景が明るい場合は、近景の彩度や明度をさらに上げるのでしょうか? 彩度の高い寒色と彩度の低い暖色では、どちらが前進して見えるのでしょうか?だんだん混乱してきました・・・。今回もどうぞよろしくお願い致します。
最後に、以前からデジカメの画像の色と作品の色がかなり違っていましたが、今回は物凄く違っており添削を諦めようかとも思いました。
が、試行錯誤の結果、自然光で、ストロボモード発光禁止で撮影することにより、オリジナルに近い色味が出せることを発見しました!!
かなり時間がかかりましたが、「妥協しない」って大切なことかもしれませんね。
[参考作品]
[作品]
添削アドバイス No.178 風景 F4 ピリカアートスクール矢野
ピリカアートスクールの矢野と申します。
前回に引き続き、今回もよろしくお願いします!
psycheさん風景の油彩画を拝見させて頂きました。
今回の風景画はpsycheさんのいつもの絵と違って全体的に形が色で表現されていて実験的な絵になっているように見えますね。
ある意味絵の模写みたいな感じがしますが、その中でpsycheさんの絵の解釈みたいなものは感じます。
いつもの色使いともまた違って、春らしい色がいいですね。
【トレーニング内容】として、油絵の具、画用液、技法の勉強と練習ということですので、絵の雰囲気的なものとしては、絵の具の色も綺麗で実験的な表現の勉強としてはいいと思います。
【制作時間】約25時間のなかで、【今回の課題】の有色下地、白色浮き出し、マチエールの習得は良く出来ていると思いました。
【気をつけた事】
- プロポーションを正確に取ること。
- 立体感、空間を表現すること。
- 質感を表現すること。
このように記載がありましたので、今回はこちらについて、ひとつずつ見ていきたいと思います。
1)プロポーションを正確に取ること。
プロポーションを正確にとる事に付いては、今回のような模写に関しては、構図的な事を勉強されるといいと思います。
建物と道の関係とか、平地(平面)と森(立面)のバランスなどを見て行かれるようになるといいですね!
2)立体感、空間を表現すること。
「立体感、空間を表現すること」に付いては、今回の作品では何とも言い難いのですが、マチエールの習得については良く出来ていると思いました。
しかし形に沿ったマチエールになっているのか?と言う所を見ると、マチエールと色が絵の表面に出て来ていて、いまひとつ立体感や空間を感じる事が出来ません。
立体感については、立体に沿った形で筆を動かす工夫をしてみてください。
そして、空間について気になる所は、手前も奥も同じマチエールで同じような色が散らばっていて整理されていない点が気になりました。
視点がどこを見ていいのか定まらず、落ち着かない絵になってしまっているので、視点の動かしかたも、手前から奥へと誘導していくように、計画を立てて描くと良いですよ。
また、「白色浮き出し」についてですが、これは多分、画面の中に光りを表す為に付けられた白色のことかなと思いますが、「白色」のなかでも単に同じ白色ではなく、手前と奥では、白の調子も微妙に変える必要があると思います。
少しでも手前と奥とで変化をつける事で、空間表現や、視点の誘導の手助けにもなりますよ。
3)質感を表現すること。
質感を表現することに付いては、コメントの中で「木や草むららしいマチエールにする。と書いてありましたが、具体的な方法が分かりませんでした。」とおっしゃられているように、木の表現と平地の草むらはマチエール表現をする際にはやはり違いを出す必要があると思います。
今回のpsycheさんの風景を見ると、全体的に同じマチエールで描かれています。
モチーフにしている絵は、マチエールの違いが少し解りにくかったかもしれませんが、どのように筆を動かし、どんなマチエールを作ると、そのものらしさが伝わるのか?を自分の中でも考えてみる事も必要ですね。
草の生え方と木の葉っぱの表現は、当然違って良いと思います。
漠然と色をつけるだけでなく、自分の中で草を意識したり木を意識したりしながら描いてみるだけでも、変化が出せて来ると思いますよ。
それから、今回の作品は有色下地を塗った上に描がかれたのでしょうか?
絵の密度と言う点では絵に厚みが出てていいと思います。
ただ、下の地の色をどのように生かしたかと言うのが今ひとつ解りにくいので、下地を塗る時にその色を後からどのように生かして行くかと言う計画性も持つようにしてみてください。
絵の具の性質や特徴など、使いこなすまでには、少し時間がかかるかも知れませんが、自分の中でどのようにしたくて、この下地の色を塗ったのか。という意味を持たせることができるようになると良いですね。
意味がない下地であれば塗る必要がないですからね。
近景と遠景の描き分け方について
次に「今回の構図のように遠景が明るい場合は、近景の彩度や明度をさらに上げるのでしょうか? 彩度の高い寒色と彩度の低い暖色では、どちらが前進して見えるのでしょうか?」という質問にお答えします。
実は、「遠景が明るい」というのは、それほど珍しい事ではありません。
明るい遠景に合わせて、手前をさらに明るくすると言うやり方もありますが、絵の具の濃い、薄い、明るい色、暗い色など描き分けることで空間を表現する場合も多いです。
画面の中で、寒色、暖色で近景、遠景をわけて描く事はほとんどありませんので別けて考える必要はないと思います。
絵の方にグリーンの斜線で平面部分と紫斜線で立面部分を別けて表しいてみましたが、このような見方で見ると、色の置き方やマチエールの使い方など、空間表現も変わってくると思います。
まとめ・総評
絵の感想としては、全体的に色の数が増えて、いつもより楽しい感じが伝わるので、いいと思いました^^
ただ、今後注意して欲しいのは、テクニックが目立って先に出てくるのではなく、感じたものを表現する為にテクニックを使うということです。
テクニックが目立つ絵は魅力的ではなく嫌味な絵に見えてしまいますので。
今回の「まとめ」としては、
立体・空間の出しかたとして、添削資料のように、平面と立面を分けて考えること。
近景・遠景の違い、そして、それぞれのモノの質感に合わせてマチエールも変えていくこと。
このあたりを、もう一度整理して、絵の描きかたを見直してみてください。
最後にデジカメ撮影方法ですが、綺麗に取れるように工夫し、頑張りましたね。
お気づきのように、撮影する時には、ストロボ、フラッシュは使わない方がいいですよ。なので、夜の撮影も難しいと言えます。
自然の天気のいい日に絵を光で反射しない角度にたてて、絵の全体に均等に光が当たっているところで、撮影するのが一番絵に近い色が出ると思います。
この調子で、楽しみながら描いていってくださいね。
次回の作品も楽しみにしています^^
感想コメント・添削ありがとうございます! Psyche
矢野先生
いつも丁寧なご指導をいただき、ありがとうございます。
また今回は、デジカメの撮影方法まで教えていただき、本当にありがとうございます!
矢野先生のおっしゃるとおりで、自然光の下でも、光の方向と量によって色味が大きく変わってきます。反射しない角度と全体に均等に光が当たるような方向を探すのは、結構大変なことです。
今回、「本当の色」って何だろうと考え始めました。
「白色浮き出し」は、有色下地が乾いた後、空と屋根にホワイトを塗りました。
これにより、半透明色や透明色の薄塗りでも厚みのあるマチエールに仕上がるとのことです。
ハイライトのホワイトは、初めはもっと量が多くて、かなり色味をおさえたつもりでしたが、もっと微妙に変えなければいけないのですね。
今回は作例の絵にできるだけ近づくようにマチエールを作ろうとしましたが、同じような色を重ねても、同じようなマチエールにはなりませんでした。
空間の表現は、非常に難しいと思いました。
最後に「テクニックが目立つ絵は魅力的ではなく嫌みな絵に見えてしまいます」というお言葉が心に響きました・・・ありがとうございました!
担当講師からの返信コメント
コメントありがとうございます。
デジカメやPCなどいろんな画面で見てるので、本当の色は解りにくいですよね。
デジタルに色が変わった瞬間から本当の色を考えてしまうのは当然のことで、現物の絵より綺麗になる事もありますからね(笑)
ご自分で一番絵に近い色を送っていただければと思います。
絵には無駄な努力はありません。今回マチエールの勉強をされたので、次回の作品に生かされて行くといいですね。
ぜひ、アドバイスの内容を参考にしてくださいね。
こちらの記事も参考にしてくださいませ。