ビジネスデッサン講座では、プロのデッサン講師による添削アドバイスを受けることができます。
添削アドバイスは、受講生の方同士がお互いに作品、添削アドバイスを共有し、モチベーションを高めあい、描く力を身につけて行く、上達への近道にして頂けたらと考えております。
ビジネスデッサンの添削アドバイス掲示板は、2011年1月より運用しており、数千作品が投稿されております。
今現在は、6種類の掲示板がご利用いただけ、技能検定も受けることができます。
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No.3903 静物(自然物) 11回目です。 おジゾーさん
【添削回数】11回目
【モチーフ画像番号】トレーニング用縦モチーフ 100/107
【制作時間】10時間
【トレーニング内容】右脳トレーニングの実践
【描く力を身につける目的】
旅先でさらりと描いたりアトリエでじっくりと描いたりした際に、納得のいく絵が描けるようになる。まずは。
【気をつけた事】
前回ご指摘があったように最も暗い部分(靴の下の影)は画用紙の白目をひとつひとつ消していくことを意識して、鉛筆を立てたり強く力を込めるなどして線を入れました。
また背景を描くとコントラストでスニーカーが明るくなってしまったので、こちらも前回ご指摘があったように、しつこくスニーカーに線を重ねて明るさを調整しました。背景は描き込みすぎないように、けれどぼんやりと何であるか分かることを意識して描いたつもりです。前々回?辺りにご指導があったのですが、背景はさっぴつを使って“向こう側”へ押しやったつもりですがいかがでしょうか。
最後にいろいろな素材が混ざっていてとても面白いモチーフでしたが、靴紐、ゴム、靴下のデコボコなど表現が難しかったです。
【質問】
背景の描き方について気を付けるべきこと、コツや大前提のようなものがありましたら教えて欲しいです。同じように素材を描き分けるうえでのコツや大前提のようなものがあれば、こちらについてもお教えいただけますと幸いです。
宜しくお願い致します。
No.3923 静物(工業製品) スニーカー・添削いたしました ピリカアートスクール高尾
ピリカアートスクールの高尾と申します。
今回で3回目の添削お付き合いください。
今回のデッサンを拝見致しまして気になった点を申し上げます。
これまで11回の投稿がありますが、その投稿全てに於いて言えることは「全体的にグレースケールの幅が少ない」と言うことです。
今回のデッサンもディテールに関しては良く観察されています。ですが、背景とシューズの差をもっと出すと、シューズの存在感が感じられるようになりますよ。
※シューズの存在感を出すためには、陰影の差だけでは不十分です。シューズそのものの立体感を描かなくてはいけません。
デッサンはカラーのモチーフを脳内でモノクロ画像に変換しそのイメージを木炭や鉛筆で描き写します。
よって、カラー画像をグレースケールの画像に変換しデッサンと比べて見ることにします。
モノクロ画像とデッサンの任意の3か所がどの様なグレーなのか抽出してみましょう。
モノクロ画像及びデッサンの中で、一番明るいと思える箇所A
一番暗いと思える箇所C
もう2箇所は、任意の箇所BとD
C 一番暗い箇所に関して
6Bの鉛筆を使ってこの濃さでしたら鉛筆芯の特性の問題ですからこれで大丈夫です。
※もし6Bではない場合は、この様な暗さの時は6Bを使いましょう。
A 一番明るい箇所に関して
デッサンではほとんど鉛筆が乗っていない箇所ですがこれで良いと思います。
※画用紙は写真で撮ると黄色く映ります。
BとDとE 任意の箇所に関して
※10段階のグレースケールとデッサンのグレースケールを作りました。このスケールと任意の箇所を照らし合わせて見ましょう。
この場所が一番比較し易いと思いましたので選んでみました。
B、EはAと同じ素材ですが、カラーのモチーフやモノクロ画像を見ても数段かいの明度差を感じます。明度差から言えば、A(1)<B(5)<E(8)となります。
AとBの明度差は4、BとEは明度差は3です。
しかしデッサンでは、A、B、Eとの差はほんの少しです。
実はこの様な個所は他にも沢山あるのです。
結論から言いますと、モチーフを観察する方向性が間違っているかもしれません。
まずモチーフを観察する場合、
- 大よそこんな形をしている(シューズのフォルムと背景)
- 大よその陰影(どの方角から光が当たっているか、グレースケールの見分け方)
この2点を中心に更に注意深く観察します。
1の場合は、プロポーションのアタリを正確に取り、シューズを面として捉え線の方向性で立体感を出す。
これはすぐに修得は出来ないと思いますので、何枚もデッサンを描き自分のモノにしてください。
2の場合は1より比較的簡単です。
しかし今は上手く出来ていないので、そこに重点を置き説明致します。
まず光源を探します。
モチーフを見て、光が何処から差してくるのか。
状況を見ると、爪先と甲の部分が明るくなっています。
これで光が左斜め上(中天に近い左)だと言うことが分かります。
更に良く観察すると、甲の部分は特にエッジに沿って部分的に明るくなっています。
と言うことは、若干逆行気味の写真であることも分かります。
モチーフの陰影から判断して図Aの様に中間地点より少し奥に光源があると想像できます。
この様に1枚の写真からこのくらいの情報は得られます。
1例ですが観察するとはこの様なことです。
今回のデッサンで重要な問題点は、シューズと背景の差が無く一体化して見えるのことです。
特に甲の部分にハイライトが無いことが原因です。
またシューズのグレースケールの幅が無いことが立体感を出せていない原因の一つでもあります。
何故そうなるのかですが、考えられることはモチーフを相対的に観察されていないことが原因だと思われます。
例えば、箇所Aは一番明るい所です。
箇所Dはグレースケールで言いますと6番目です。
デッサンの箇所Dは、その周りと比べて格段に明るくされています(意図があるなら別なのですが)。
描く際に一番明るい箇所Aと比較すれば、このようなことは起こりにくいので、他と「比較する」という工程が少ないのではないかと思います。
要するにその部分を描く時は、部分だけを見るのではなく他の色んな部分と比較して相対的に見ることが重要なのです。
ディテールを表現することは必要ですが、それにばかりに目を奪われているのでは本末転倒です。
まずプロポーションを正確に描き、立体感を表現し、質感及び量感を出すのが優先順位となります。
最後の描き込みとして、質感やディテールを描く際にも、プロポーション・立体感を壊さぬよう描き進めていきます。
※私も最初の頃はプロポーションや立体感を描くことができず(理解していなかったのです)ディテールばかりに目が行ってしまい、良く講師に注意されました。
陰影の観察と同じくらい大切なのが、プロポーションを良く観ているかと言うことです。
一例をあげますと、一番下の比較画像をご覧ください。
モチーフのシューズの底のラインとキャンバス地の接合部を赤い線で示してあります。
それをデッサン上に移してみると差が分かります。
プロポーション的にはこの様な箇所がいくつもありますので、もっと正確にアタリを取りましょう。
背景の描き方ですが、今回のモチーフの様に手前に主題がある場合はあくまでも主題を際立たせるための背景と考えてください。
極端に言えば、甲のエッジの部分にハイライトを入れる為にバック(背景の草木を描かなくても良い)を暗くします。
その処理がシューズの存在感をより一層高めるのです。
また背景をどうしても描きたい場合は、全体にぼかすのではなく背景の一番手前と中間と一番奥に差を付けなければなりません。
その差とは、エッジがある程度はっきりしているかしていないかです。
一番右上のモチーフ画像をご覧ください。
黄色の楕円部分は背景で一番手前にあります。
緑の楕円部分は背景では中間地点にあります。
空色の楕円部分は背景で一番奥にあります。
これらをエッジの差で付けてあげることです。
要するに背景の中で距離感を出してあげることが前提なのです。
と言うことはここでも観察力なことが分かります。
素材を描き分けるのは、質感を表現することですがそのためには鉛筆の使い方をマスターしているかしていないかです。
使い方とは、
- 線の太さを使い分けられるか
- 濃さ(10段階のグレースケール)を使い分けられるか
- 線の方向(縦横斜め、斜めの線は無限にあります)を使い分けられるか
- 1本の線の中で強弱が使い分けられるか(一本調子の線はデッサンを単調にさせます)
- 線の密度を使い分けられるか
です。
1から順に難しくなりまし、それぞれの鉛筆の濃度(4Hから6B)でそれらを使いこなさなければならないのです。
それが出来た時に、質感の差を表現することが可能になります。
既にここまで描けていますので、これから更にレベルアップするために、まずは基本に立ち返りましょう。
例えば
2Bの鉛筆で10段階のグレースケールが作れるようになる
観察力を高める
四角は四角、丸は丸と言う様に、プロポーションを正確に描く
以上の点を踏まえて次回のデッサンに活かして頂ければと思います。
また作品を拝見するのを楽しみにしています。
ぜひ、アドバイスの内容を参考にしてくださいね。
こちらの記事も参考にしてくださいませ。