この記事の目次
No.3138 基礎添削 正面を向いた女の人 matt3
【添削回数】2回目
【年齢】20代
【モチーフ画像番号】ABプラン共通の基礎添削用モチーフ No.11
【制作時間】1時間程度
【トレーニング内容】右脳トレーニングを実践
【描く力を身につける目的】趣味で漫画やイラストが描けるようになりたい
【気をつけた事】可能な限り全体→部分の描き順になるように意識しました。
その結果、髪の毛以外の顔全体のアタリ→髪の毛のアタリ→目鼻などの顔パーツ→アタリ・輪郭などの修正→髪の毛の塗り→首から下の部分といった描き順になりました。
【質問】自分が人を描く際、全体的に縦に伸びて横に縮んでしまう絵を描きがちになります。この提出作品の前にも何度か描き直し、全てそういった比率の歪みが生じていました。これらの現象はどういった原因で起こり、どう対策すればよろしいでしょうか?
No.3149 基礎添削 人物・添削いたしました ピリカアートスクール高野
初めまして。今回担当させていただきますピリカアートスクールの高野と申します。漫画の講師もしております。
よろしくお願いいたします。
縦に伸びてしまうとのことですが、似顔絵としてはよく似ていると思います。
誰かが分かるくらい似せられていると思いますよ。
このモチーフの特徴は、
- 大きな目、
- りりしい眉毛
- 横に広がった口角
だと思います。
この3点がちゃんと反映されているので似ていると感じられるんだと思います。
それではさらに似せるために、縦伸びしてしまう原因を中心に見ていきたいと思います。
縦伸びしないための2つのアプローチ
さて、縦伸びしないようにするためにはひとえに「縦横比」をモチーフに合わせることです。
この縦横比を合わせるためのアプローチは2つあります。
- 体の他の部位と頭部の比率を合わせる
- 頭部の縦横比を合わせる
これは漫画やイラストを描く場合も同じですね。
1.体の他の部位と頭部の比率を合わせる
今回のアタリの取り方は、全体→部分の順番で描かれたとのことですが、これはいいと思います。
ただ、まず顔全体のアタリを取って、最後に首から下の部分のアタリを取った、ここだと思います。
この方法だと1つ目のアプローチ「体の他の部位と頭部の比率を合わせる」が効かなくなってしまいます。
このアプローチの意味は、他の部位という比較対象物があるので狂いがわかりやすくなる、という点です。
作品は頭部に比べて、首がやや細い、首が長い、デコルテが広い、という違いが挙げられます。
これらの部位と頭部を比較しながら描くと、頭部だけを描くよりも頭部の縦横比も狂いに気づきやすくなります。
他の部位の狂いにも気づきやすいです。
これは全身図だとより顕著に表れますし、やはり静物画でも同じです。
このときに助けになるのがグリッド線です。
資料①②にピンクで同じグリッド線を引いてみました。
目頭からあごを合わせてあります。さらにモチーフの輪郭を青で作品に入れてみました。
どれくらいズレているか分かりやすいと思います。顔の縦横比自体は大きく狂ってないと思います。
頭が長くなっていますね。
PCでも手描きでもいいので、モチーフにグリッド線を描いてみましょう。
作品にも同じように薄く線を引いてみましょう。
このグリッド線をガイドにしてアタリを、各部位同士の比率が狂いません。
最初は練習なので、作品にグリッド線が少し残ってもいいと思います。
2.頭部の縦横比を合わせる
顔のアタリを取った後髪型のアタリを取ったとありますが、これによってより縦横比が狂ったと思われます。
1つのものを2つに分けて描くよりも、それらを1つの塊として描いた方が縦横比が狂いにくいと思います。
したがって、顔と髪の毛ではなく「頭部」とひとかたまりにして、「あごから髪のてっぺん」対「顔の端、髪の毛の端」の縦横比をモチーフに合わせます。
グリッド線のマスのどの辺りに端が来るかを読み取って描いていきます。
資料①の黄緑の矢印とオレンジの矢印の線は頭部の縦横比と顔の縦横比を表したものです。
これらふたつのアプローチで頭部の縦横比が正確なアタリを描きます。
これが縦伸びしない描き方の全てです。
逆にここが完璧でないと、パーツをどんなにうまく描き込んでも比率は狂ったままです。
それでも多少の狂いは出てきますので中程の「アタリ・輪郭などの修正」は必要だと思います。
■グリッド線を読む
全体のアタリを描いたり、顔のパーツの位置を正確に描くためにグリッド線をどう読めばいいでしょうか。
読むポイントは「目印となる座標」です。
座標とは点の位置のことですね。
資料②に「目印となる座標」を黄緑の点で印してあります。
これらの共通点は、パーツの端の位置、パーツの頂点底点、線の交点であることです。
わかりやすい点の位置ですね。
これらの座標をグリッド線を頼りに配置していけば顔のパーツが大きくズレることはありません。
全体のアタリを描くときにチェックするのは、
- 頭の頂点
- あごの底点
- 左右の顔の端
- 左右の髪の端
- 首の付け根
- 左右の服の襟
- 襟元の底点
などの座標です。
まずこれらの座標をグリット線を頼りに読み取って点で打ち、それらをつないでいく意識でアタリを取っていきます。
そして全体を見ながら修正します。
これが完璧になってから顔のパーツのアタリに移りましょう。
次に顔のパーツのアタリを取っていくわけですが、ここでも手順は同じです。
まず、
- 眉頭
- 眉尻
- 眉の頂点
- 目頭
- 目尻
- 目の頂点
- 目の底点
- 鼻の穴
- 口角
- 上唇の頂点
- 唇の接点の中心
- 下唇の底点
などの座標をグリッド線を頼りに読み取って点を打ちます。
これらの点を結ぶ意識でアタリを描きます。
顔全体を見ながら修正してアタリを完成します。
このアタリが完璧になってからディテールに入りましょう。
顔は1ミリでもズレると印象が変わってしまいます。
グリッド線と座標を読み取る方法で正確に描きましょう。
漫画やイラストでもグリッド線こそ引かないものの、上記の目印となる座標の位置関係はかなり意識して描きます。
一番ズレがわかりやすいからです。
■陰影について
陰影の付け方がまだ粗いかなと思います。
陰影を付けるときにガイドとなるのは光源の方向です。
モチーフの陰影の明と暗の部分を見ると光源がどの方向にあるかわかってきます。
このモチーフの場合は正面やや左側だと思われます。
この光源の方向をガイドとすれば、どこを明るくして、どこを暗くすればいいのかわかりやすくなります。
資料③はわかりやすいようにモチーフをグレー変換してあります。
これは鉛筆で陰影を付けた完成形と思って下さい。
ピンクの部分は陰影の明の部分、青は暗の部分、それ以外が中の部分です。
これと比べてみると、比較的暗の部分は反映できていると思います。
ただ明と暗の2段階だけの表現になってしまっていて、中間の明るさがありませんね。
漫画ではトーンを貼ったり、イラストでも陰の色を塗ったりと2段階表現が多いですが、デッサンでは少なく考えても3段階が必要となってきます。
これは髪の毛も同じで、よく観察してみると髪の毛も3段階くらいの階調があると思います。
作品の髪の毛は同じ濃さで塗られているので立体感が表現されなくなっています。
明中暗の陰影3段階を意識してみましょう。
漫画やイラストでも暗の部分の主線を太めに描くという表現をしますね。
また、モチーフを目を細めて見るとコントラストが大きく見えて、陰影のガイドになりますよ。
■まとめ
- 体の他の部位と頭部の比率を合わせる
- 頭部の縦横比を合わせる
- グリッド線を引く
- 目印となる座標を取る
- 陰影は明中暗の3段階
これらは漫画やイラストを描くときの共通の基礎でもあります。
ここで感覚をつかんでご自身が描きたいものを描く際の基礎力にしてください。
すでに特徴をとらえて似せた顔を描くセンスは持っておられると思います。
さらに・・・
あなたの作品を拝見させていただくのを楽しみにしています!
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