人物画が似ない理由とは?
なかなかモデルの印象が似てこない・・・という方は多いですね。
そんな方に分かりやすい添削事例をご紹介いたします。
この記事の目次
まずこちらの添削アドバイス受講後のビフォーアフターの作品をご覧ください。
添削アドバイス受講後のビフォーアフター
(左側:ビフォー 右側:アフター)
こちらの受講生は、ヘアメイクのお仕事をされていらっしゃり、イメージ画を描けるようになりたいということで、人物画のデッサンを練習しています。
当初から、思いきり手を動かすことができていて、線に勢いのある作品を描かれていました。
ご本人は、デッサンの経験もなく描き方が分からないながらも、積極的に手を動かせていて、荒削りな感じではありましたが「うまくなりたい!」という熱意が伝わってくる方でした。
この時点では、全体的に鉛筆の腹で描いたようなタッチで、似たような質感が全体的に目立ちますが、モチーフにしている写真画像から、明暗を拾いながら手探りで立体を描写しようとしている様子が伝わります。
人物画でポイントになる「目」に関しても、細かく描こうとされていて、モデルの持つ雰囲気は伝わってくる作品です。
冒頭でご覧いただいたビフォー&アフターの作品は、人物画添削を何度か繰り返し練習したものです。
形もかなり取れるようになってきて、モデルの印象もよくとらえています。
鉛筆の扱いにも慣れてきて、描き込みも丁寧さに好感が持てます。
特に目の周辺は、形の曖昧さもなくなり、とても上手に描写ができていると思います。
次のステップとして「明暗を使い分ける」というアドバイスをさせていただきました。
更にもう少しだけ加筆していきましょう。
個人情報の関係上、モチーフ画像がお見せできないのが残念なのですが、まず、モデルを描く際に、一番初めに確認して欲しいのが「光の方向」です。
今回は向かって左上から光が当たっています。
光の流れを意識しながら、明暗を描き込むと・・・こんな風にリアリティが増してきますよ〜♪
唇のプックリ感がすごいですね。
明暗をしっかり描き加えることで、こんなに印象が変わります。
眼は命!白眼を白く描きすぎていませんか?
右の作品画像では、白目の部分がかなり明るく描かれていますが、実際には「全体の中でどのくらいの明るさか?」と考えた場合、それほど白く(明るく)ないことに注目してみてください。
左の加筆画像の方では、白目の部分はかなり暗く描かれています。
しかし、それでも不自然には、見えませんよね?
むしろ、自然な感じに見えているのではないかと思います。
また、今回の作品ではしっかりと描かれているので、特に触れていませんが、瞳の黒さもしっかり色をつけることが重要です。
「眼の描き方」については、別途解説していますので、そちらもご覧ください。
全体のバランスを見るということは、簡単なようでなかなかできないものなのですが、
パズルのように、丁度ピッタリの明るさを目指してみてくださいね。
額から、髪の生え際にかけてもコツがあります
増毛されてますね!(笑)
加筆後のデッサンでは、サラッと色を暗く付けているように 見えますが、実は頭部の回り込みを意識しながら明暗が付けられています。
この微妙な明暗の違いで、立体を表現するのは、少し技術が必要ですが、イメージとしては「ここまで描けるよ」ということを知っていただければと思います。
ご自身で額を触ってみると正面から側面へと、形が移り変わっていくのが感じられませんか?
人間の頭部は球体に近い形なので、正面(描き手から一番近い場所)に対して、側面があり、更には裏側に回
り込む形が存在しているということを忘れずに観察していきましょう。
そう。正面はむしろほんの一部でしかないのです。
それから、髪の毛の生え際の形も微妙に修正してあるのですが、この生え際のラインも重要なポイントです。
額の中央から上の頭部は、今度は「上の面」になり、奥行きを出す必要があります。
この髪型の場合であれば、髪の毛の生えかたを丁寧に描いていくことで、きちんと奥行きが表現できると思いますが、ちょっとした形の違いで、額の立体の見え方にも影響してきますので、よく観察しながら形を整えて行きましょう。
髪の毛の黒さが目を引くモデルさんですので、髪の毛の固有色をあらかじめしっかり乗せ、パッと見の印象を合わせて置くと、形の違いにも気がつきやすくなりますよ。
頬の量感も正しく表現できているか?
もう一度、光の方向を確認すると、顔の正面に対して側面の部分は斜め上からの光が届きにくくなっていて、一段階暗くなっています。
左の画像をご覧ください。よく見ると実際のモデルの顔のアウトラインは作品よりも少し狭く修正してはいるのですが、それよりも、一段階暗さを置くことで、顎のシャープさが伝わってきます。
因みに、頬を描くときに注目して欲しいのは、頬骨の位置です。
頬骨を境に面の変わり目があります。今回もここに暗さを置くことで面の変わり目が際立ち、奥に行く形が現れてきました。
これも、鏡を見ながら自分の顔を触ってみると理解しやすいと思いますので、やってみてくださいね。
「形があることで、明暗が出来ます。」
しかし、こうとも言えます。
メイクをする時、凹凸をあえて強調するために、明るい部分を描く道具と、暗い部分を描く道具を使い分けますが、明るさを際立たせる部分と、暗くする部分、うまく使い分けることで、メリハリのあるメイクに仕上がるはずです。
部分の美しさも大事ですが、全体のバランスも大切です。
同じ感覚でデッサンしてみてください。
人物画をランクアップさせる「鼻」について
と言われるくらい重要なポイントですね。
では「鼻」を見ていきましょう。
よくお伝えするのですが、正面の顔を描く時、描ける人かどうかがすぐに分かる判断基準として、鼻をどれだけ立体的に描けるか?を見ます。
人物の頭部を正面から見たとき、一番手前に出てきているのが鼻ですね。
ですので、鼻が手前に出っ張っているように見えなくてはならないのですが、手前に出てきているように描き起こす技術って、実はちょっとレベルが高いです。
もう一度、作品と加筆後の画像で、鼻の見え方を見比べてみてください。
一つ一つ見比べると、違いが理解できてきましたか?
こうやって、違いを知ることで、「見る力」が養われます。
見える人には見えて、見えない人には見えない部分です。
大切なところなので、「見る力」に自身がない方は、もう一度しっかり違いを確認してみてくださいね。
鼻の描き方解説動画はこちら
エリアごとに分けて、明暗を描き分ける
光が上から当たっていることを考慮し、こちらは明暗をもう少し細く観察し、暗さごとに5段階に色分けしてあります。
初心者の方は、まずは「明・中・暗」の3段階位に分けて考えるだけでも、絵にまとまりが出てきますので、やってみてくださいね。
このように、整理して描き分けることで、光の流れができてきます。
このように「形をとること」「明暗を描き分けること」「光を表現すること」は、全て同じ作業の中から生まれています。
ですので、これを別々に考えることなく、同時にできるようになってくると、描くことがきっと楽しくなってきます♪
明暗を付けるときに、面積のバランスがなんかヘンだな?と感じたら、形を見直してみる。
光の流れを見ていくと、ここの形がおかしいな?といったように、違和感に気がつけるようになってくるのです。
先ずは見方(観察の仕方)を習得し、ひとつひとつを表現していく。
描くこととは、そんな作業なのかなと思います。
絵を描くことからは、本当にいろいろなことを学ぶことができます。
みなさんなりの、絵を描く面白さを見つけていただけたら良いなぁと思っています♪
受講生のみなさんは、受講生専用の添削掲示板にて指導内容の全文をご覧いただけますので、そちらも参考にしていただければと思います♪
今回の添削講師はFujita先生でした。
一目でわかる添削内容がさすがですね! (≧∇≦)
人物画の描き方については、こちらの記事も参考にしてくださいませ。
ここが分かるかどうかで進歩の具合が全然変わってきます。