No.515 漫画のコマ割り添削 ブンブン
【添削回数】10回目
【描く力を身につける目的】マンガを描くため
【気をつけた事】見やすく、わかりやすく、愛嬌があるように気をつけました。
線の太さや背景が単調でメリハリがないことや、心理描写がアッサリしすぎて盛り上がりに欠けることがイマイチかと思います。
【質問】以前は原稿用紙に付けペンで描いていましたが、体力が保たないので断念してデジタルで描くようになりました。
ワコムの板タブを使ってます。ソフトはフリーソフトのMediBang Paintです。
アナログのような温かみを出すにはどうすればいいでしょうか?また、この画風にあったトレーニング方法などありましたら教えてください。
※今回の漫画のコマ割り添削アドバイスは、著作権の関係上、作品を掲載することができませんので、ぼかしを入れさせていただいておりますので、ご理解いただけますようお願いいたします。なお、受講生サイトでは、すべての作品をご覧いただけます。
ビジネスデッサン講座では、プロのデッサン講師による添削アドバイスを受けることができます。
添削アドバイスは、受講生の方同士がお互いに作品、添削アドバイスを共有し、モチベーションを高めあい、描く力を身につけて行く、上達への近道にして頂けたらと考えております。
人の作品を見ることももちろん勉強になりますが、自分の作品を添削されると、自分事として、見ることができるので一気に上達することができるようになります。
特に添削アドバイスを喜んでいただけていて、とても嬉しいです!
自分では気づいていなかった点もアドバイスしていただき、とても勉強になったと思いました。
教材があることによって独学より、デッサンの勉強を継続しやすいと思いました。
動画などもあるので、とても分かりやすいです!
実際に添削アドバイスを体験しましたがやっぱりなにをするのか教えてくれる。
それがすごくありがたいです。
では、ピリカアートスクール講師の添削アドバイスをご覧ください。
この記事の目次
漫画のコマ割り添削いたしました ピリカアートスクール高野
ピリカアートスクールの高野と申します。
漫画講師もやっておりますので今回担当させていただきます。よろしくお願いいたします。
作品拝見しました。すでに完成度が高いと感じます。作者が伝えたいことは間違いなく読者に伝わります。
ご自身がおっしゃっている、見やすく、わかりやすく、愛嬌があるように、は実現できています。
読みやすく好感が持てます。媒体と絵柄・作風が合うのであればこのまま商用に掲載できるレベルだと思います。
それでは質問にお答えしながら添削してまいります。
■アナログのような温かみを出すには
アナログのような温かみを出すためには、実は3つのポイントがあります。
(1)解像度を高く
作業する解像度が低いと線にジャギーが出やすいです。
PC、モバイルで見る場合もやや感じます。紙に印刷されるとはっきりわかります。
ここが明らかにアナログの線と違うのでデジタルを感じてしまいます。
(2)ブラシ選び
ブラシは何で描いてますでしょうか。
一番アナログに見えるのはやはりGペンです。かつ力の加減で強弱をつけながら描くことです。
資料①をご覧ください。4コマ目をできるだけアナログっぽく見えるようにMediBangで描いてみました。
MediBangは初めて使いましたが、アナログっぽさを出すにもなんとかなりそうです。
絵柄に合わせたというのもありますが、もっと強弱は付けられます。
※今回の漫画のコマ割り添削アドバイスは、著作権の関係上、作品を掲載することができませんので、ご理解いただけますようお願いいたします。なお、受講生サイトでは、すべての作品をご覧いただけます。
(3)トーンはドットで
作品の方はトーン部分をグレーで塗りつぶしてみえますね。
これがかなりデジタル感を助長しています。アナログにはないからです。
ですから色を塗りたい部分はやはりドットのトーンを貼りましょう。素材パレットから使えますね。
グレーで塗るのとさほど手間は変わらないはずです。
資料①はグレーを60L10%で表現しましたが、こうして見るとポップすぎてコマの雰囲気とは不釣り合いなので、実際はこの使い方はしない方がいいですね。
おばさんの服の砂目はいいのが無かったので、違う種類の砂目を2枚重ねて、不透明度をやや落として調整しています。
■メリハリの問題
メリハリは総合的な問題です。ひとつは上でもご説明しましたペン線の太さと強弱です。
同じコマでも手前の物は太く。
・背景
背景の量はこれくらいで大丈夫だと思います。一般的に背景の線はもう少し細くした方がいいですね。
キャラが背景に埋もれがちだからです。これくらいの密度の背景ならまだいいですが、もう少し密度の高い背景だと埋もれてしまいます。
主な背景は、壁、ベンチ、木、ゴミ箱ですが、メリハリは別の問題ですね。
・集中線
強い口調がある場合は集中線があってもいいでしょう。セリフや人物を強調する効果だけでなく、見た目にメリハリが付いて目が飽きません。
3コマ目、4コマ目に可能性があるでしょう。コマ全体ではなく上部だけや下部だけという使い方もあります。
・背景トーン
現在背景をグレーで塗っているコマがありますが、全部一種類のグレーなので単調さを招いています。
ここは素材パレットから他の柄トーンも探してみましょう。
背景もトーンも無い真っ白なコマもあり得ます。
ページをフカンで見て背景をどうするか選びましょう。
最後のコマの「ひとりじゃないよ」の飾りのグレーも、飾りトーンを使ってみましょう。
・アップロング
作品は同じような人物の大きさのコマが続きます。
これもメリハリの無さの一因です。目が飽きてしまいます。
もっとアップロングの差を強めましょう。アップにしたらロング、次はアップ、というように。
特にアップが少ないと感じますが、これは次の心理描写にも関わってきます。
・コマの大きさ
全体的にコマの大きさにもメリハリがありません。重要な行動、セリフ、心情を表したいコマは他のコマよりもかなり大きくしてあげましょう。
差別化されて強調されますし、視覚的にも読者に訴える力が強いです。4コマ目は絶対大きくです。
■心理描写
この心理描写の表現の問題はメリハリとリンクしてきます。
心理描写をうまくすると必然的にメリハリも出てくるからです。資料②をご覧ください。
意図的に心理描写を強めてあります。コマ数も増やしてあります。
コマはただ並べただけなのでレイアウトに特に意味はありません。
(1)アップ
心情を強調したいときは顔のアップを使うべきですね。
その心情にクローズアップしているように感じるからです。逆にアップで言っていないセリフはあまり重要に感じないですし、心に響きません。
資料②の1、3、4、6、7コマ目をアップにしてあります。
心情を強調したいコマと判断したからです。
(2)間を作る
資料②はコマ数が増えています。
2、4、7コマに共通するのは「間」です。作品の方には間がありません。
起こったことを時系列に並べているだけだからです。そうするとさらっと流れてしまいます。
間の正体は「感情のタメ」です。読者にキャラクターの心情を強調するためには感情のタメの間が有効です。
逆に時系列に並べるだけというコマ割りには要注意です。
(3)1コマのセリフ
5、6コマでセリフを分けてあります。
「あなた自身のことなんでも!!」が太字になっていることからも、このセリフを強調したいはずです。
しかし同じコマに詰めてしまうと強調がかなり弱まります。また、そのセリフだけ別のコマにして別の演出を描けることで強調に成功します。
6コマ目の演出はアップにすること、2人を並べて関係性を強調すること、背景に雰囲気トーンを貼ること、セリフを真ん中に置いて重要さを強調すること、です。
これだけのことをやりたいと思ったらコマを分けるしかありません。
(4)シャローフォーカス
7コマ目はシャローフォーカスという技法を使っています。
キャラクターにトーンを貼ってエッジをぼかすという手法です。
昔から漫画にある手法です。これはカメラの背景をぼかす技法から来ています。
キャラの心情、存在を強調する心理効果があります。お手軽なのでオススメです。
■トレーニング方法
この画風であればほぼ完成されていると思います。一つ検討していただきたいのは、手の描き方です。
指を描くかどうか。漫画では手は顔ほどにものを言います。心情が手に出るので、指まで描いた方が心情表現という点では有利です。ご検討ください。
背景もパースが狂っているなどの違和感も感じません。
絵のトレーニングというよりは、演出の感覚を身につける練習をしてください。上記に挙げたことですね。
これまでに描かれたもので結構ですので、今回のことを踏まえてラフに描き直す練習をしてみてください。
■まとめ
事実を伝えるという点ではすでにプロ級です。
ご自身に足りないもの・・・
あなたの作品を拝見させていただくのを楽しみにしています!
どんどん上達している受講生の声はこちらをご覧くださいませ。
添削アドバイスを受けるとなぜ一気に上達できるのか?
その理由は、こちらの記事をご覧くださいませ。