この記事の目次
かぼちゃ タカさんの作品
【添削回数】1回目
【審査基準】辛口審査希望
【制作時間】12日間
【モチーフ】かぼちゃ
【描く目的】将来、グラフィックデザイナーとしてデザイン会社へ転職する為
【気を付けた事】これまでデッサン掲示板でいただいたアドバイスをもとに明暗をはっきりつけてみました。種の部分もできるだけ細かく描いてみました。ビジネスデッサン技能検定添削よろしくお願いします。
一瞬で立体的に見える形の取り方
今回のタカさんのかぼちゃのモチーフは、1回目の添削は山田先生に担当していただきました。
その後、復習添削としてもう一度同じモチーフを提出していただいているのですが、その際に私がお伝えしたアドバイスの中でのやりとりをご紹介いたします。
タカさんからのご質問で、「面積比で形を捉える感じ」と「途中で1度上から柔らかい鉛筆を寝かせた状態で、右側の面全体に色を乗せてしまうという事」と「影色を付ける際には面の方向にも意識を向けながらタッチの方向を考えるということ」が分からないので教えてください。
というご質問をいただきましたので、解説いたします。
とっても重要なポイントなのですがテキストだと伝わりにくいので、動画で解説させていただきますね。
面積比で形をとる方法の動画解説
形をとるとき、多くの人がアウトラインの形をみながら線で描いています。
勿論、線で描く方法もあるのですが、少し見方を変えていくと、アウトラインの線を描かなくても描くことができるのです!
デッサンを描く時に、「面」でみることができるかどうか。というのがひとつの上達の目安になりますが、「面積比でみる」というのは、その際の一つの方法です。
一本の線で形を作っていくよりも、形を大まかな立体として考え、余白をのこしながら、徐々に形を洗練させていく方が描きやすい場合もあります。
これ、あまり知られていないやり方かも知れませんが、形をとる際にとってもおすすめな方法です。
陰影を追っていくことで、必然的に明暗が付きますし、立体感も出る。更には形の全体像まで見えてくるので、一石四鳥くらいになっちゃいます!
この方法をマスターすると、形をとるのが数段早くなりますし、全体像を見ながら描き進められるので、形の狂いにも気がつきやすくなります。
次に、もう一つのご質問。
「途中で1度上から柔らかい鉛筆を寝かせた状態で、右側の面全体に色を乗せてしまうという事」
「影色を付ける際には面の方向にも意識を向けながらタッチの方向を考えるということ」
この2つについては、同時に考えていく必要があります。
動画をご覧いただくと解りやすいと思うのですが、描き込みをした段階で明暗のバランスが崩れるタイミングが出てきます。
そんな時などに、再度「面」ごとのまとまりを取り戻すために、その部分全体に上から色をつけていきます。
この時に、必ず面の角度を崩さぬように、方向を確認しながら描いていきます。
この工程を挟むことで、大きな立体を見失わずに、細部の描写を仕上げていくことができます。
また鉛筆を重ねていくことで、トーンの色幅も豊かになっていくのです。
とっても重要なテクニックなのですが、完成した状態の作品を見ても、こんな工程が含まれているとは、なかなか伝わってきません。
動画で是非ご覧ください!一瞬で見え方が変わりますので!
ここからは山田先生の添削をご覧ください。^^
ピリカアートスクールの山田先生のアドバイス
作品拝見しました。添削をさせていただきますピリカアートスクールの山田と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。
■1:形を取る力 評価4
よく観察されています。
モチーフとぴたりと一致するほど、正確に形をとることができています。
素晴らしですね!!
全体のカタチはよいのですが、ワタとその中の種の配置については、ややカタチを飛ばし気味に描いているように感じます。
全体の外形を正確に描く力はあるのですから、もう少し正確に描けるはずですよ。
図①の白い点線で囲んだ部分を見てください。
種の配置を一つひとつ見ていくのではなく、種を適当なかたまりとしてとらえてみます。
種のかたまりの範囲を薄く描いておき、その範囲自体のズレがないかを確認したうえで、それぞれの範囲の中に、ひとつひとつの種を描きこんでいくようにします
そうすることで、一見複雑に見える種の配置も描きやすくなってきます。
全体のカタチをとる際の参考に、図④⑤を見てください。
同じ形の四角形で、モチーフを分割する補助線を描いておくとさらに正確な形・正確な位置関係を描くことができます。
■2:明暗の表現力 評価2
■3:立体感 評価2
この作品で、最も不足しているのが、濃い部分の描き込みです。
濃い部分を作らないと、立体感が表現できないのです。作品は全体的にメリハリが少なく、ほぼ均一なトーンで仕上げられているため、どうしても平面的に見えてしまうのです。
図③を見てください。
このモチーフのカボチャには、Jの方向から光が当たっています。
光の方向をよく見て、カボチャのそれぞれの面の濃さの違いを最初に見極めておく必要があります。
最も明るい面は「V」、最も暗い面は「W」ですね。
作品は、ザックリ見ると、PVQTがほぼ同じ明るいトーンで、Wはやや濃いトーンになっています。
Wの面(カボチャの外皮)は、もっとググっと濃く描きます。
さらに種と種の間の暗くなっている部分(図⑧参照)も、濃く描いておかなければ、種およびワタの部分がべた~っと平面的に見えてしまいます。(図②のRのワタ部分と、切り口のS部分がぜ~んぶ同じトーンです)
もっと描きこんで、明暗を描き分けることです!
明暗による立体感を作っていかなければなりません。
図⑨を見ても、作品はトーンの幅(明暗の幅)が少ないことがわかりますね。
濃い部分、明るい部分、中間色の部分を描き分けることが必要です。
暗い部分がぐっと暗いことで種の明るさが強調され、立体感が出てきます。
■4:質感表現力 評価3.5
■5:固有色表現力 評価3.5
カボチャのワタの部分はもっと描き込みが必要ですが、カボチャの切り口の質感表現は丁寧に描きこまれていますし、よく観察されていることがわかります。
カボチャの切り口の小さなカット面の違いもよく見ていますし、切り口の色の変化もよく表現できています。
ただ、外皮はもっと濃く!です。
濃く描きこむことに抵抗がありますか?
外皮をグッと濃く描くことが大切ですが、外皮だけをグッと描いて、外皮だけを濃く仕上げてしまうと、非常にアンバランスな感じになってしまいます。
では、どうするのか・・・
一部分を仕上げたら、次の部分を仕上げていく・・・のではなく、全体的に、濃い部分・明るい部分・中間色の部分を作りながら全体を仕上げていくようにします。
全体を描き込みながら、全体の明暗配分に注意しながら、全体を徐々に仕上げていくようにしてみてください。
そして最終段階になってきたら、濃くする部分はより描き込み、明るい部分は(もし描き込みすぎていたら)練りけしなどで調整してみてください。
【影について】
図①②③④を見てください。
テーブルに落ちる影は、Gの範囲ですが、作品の影の範囲は異常に広くなっていますね。
「影」をよく観察する必要があります。勝手な思い込みで描かないように^^;
また影の中にもトーンの変化があります。
Gの範囲の中でもHの範囲はより濃くなっていますし、さらに外皮に近い部分はより濃くなっていることにも注意しておかなければなりません。
そして作品は「影のタッチ」が粗いことで、作品の完成度が落としてしまっています。なんてもったいない!
なぜだかわかりますか?
カボチャそのものを「密」に描いているにも関わらず、それよりも粗いタッチで影をバッサバッサと描いてしまうと、作品全体のトーンがアンバランスになってしまいます。
影の範囲やトーンを描き分けながら、影を指先やティッシュ等で少しぼかしておくとなじんできますよ。
図⑥⑦のTWZの明暗の違いをしっかりと把握しましょう。
「影」をしっかりと描くことができなければ、上達は難しいです。
「影」の描き方によって、モチーフがどのような状態でそこに「在る」のかが決まってきます。
■6:描写力 評価3
■7:完成度 評価3
基本的には観察する力はあるのですが、観察力が散漫になる部分も見られます。
カボチャ自体がよく描けていても、「影」がそこそこ・・・それでは完成度は低くなります。
全体をもっと観察するようにしてください。できるはずです!
注意すべきポイントはたくさんあります。
しかしカボチャ本体をここまで描きこむ力がありますので、もう少し注意力を集中すればかなり完成度の高い作品を仕上げられると思います。
その力はありますよ!
メリハリをつけるだけでもモチーフはぐっと浮き上がりますよ^^
参考にしてみてください。
添削アドバイス後
タカさんからの感想
添削ありがとうございます。
自分は立体感を出す為の明暗をつくるところが出来ません。なぜかというと濃く描こうと作品が壊れてしまうんじゃないかという心配があって勇気が出せないのです。
く描き上げようとしたり、だんだん細部を丁寧に描くことが出来なくなってしまいます。この点が指摘して頂いた、「完成度を落としてしまう」原因だと思います。これらの課題は、「明暗」と細かい所までの「丁寧」な書き込みと考えます。
上達するために、今私に一番必要なことは、作品を壊してしまっても、勇気を出して描きこんでいくことだと思うのですがどうお考えになりますか?
よろしくお願いいたします。
山田先生からの返信
そうです!
失敗してください。真っ黒に汚れてしまって、消しても加筆しても修正してもグズグズになって、どうしようもなくなってしまってもいいのですよ^^
作品を壊してみてください。グイグイ描きこんでください。
一度壊してみるといいです!
濃い部分を描く際、まずその部分だけをグイグイ濃く描いてしまうと、その時点で絵全体がアンバランスになって失敗作のように見えてしまいます。
このような描き方をしているとは思いませんが、濃い部分を一つ一つ作っていくのではないということです。
例えば図②の作品は、「陰影をとらえる」ことはできていますが、全体的にトーンの変化が非常に少ないため平面的に見えます。
図①は作品のコントラストを上げたものですが、ぐっと立体感がでてモチーフがくっきりと見えます。
「くっきり」させるには、輪郭だけを濃くするのではなく、全体的にコントラストを上げてメリハリをつけることです。
作品②の場合、濃い・薄いの描き分けはできています。
ただトーンの差・明暗の差が足りないだけですから、作品②の濃くなっている部分=白い点線の範囲は、この段階からさらに濃さ増すために上から重ねて濃く加筆していけばいいですね。
この際、Aの部分だけをしっかりと濃く仕上げてしまうのではなく、ABCDの濃さのバランス、全体とのバランスをよく見ながら、AとBとCとDの範囲(濃い部分)を同時に徐々に濃く作っていきます。
もちろん絵全体のトーンも意識して。です。
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グラデーションスケールを描いてみましょう。
この「白から黒までのグラデーションスケール」そのものを描く練習をしてみるのも効果的です。
G、H、J の2つのトーンの違いも描き分けられるのではないでしょうか?
GHJそれぞれのの2つだけを描くのではなく、GHJの3つとも描いてみる。
このような練習もやってみるとよいですよ。
「心配があって勇気が出せない」ですか?
「心配」はいりませんよ^^
失敗しながらの練習でいいのですから。
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丁寧さは「良い」と思います。
ただ、かぼちゃは丁寧に仕上げられていいるのに、影の「雑さ・目の粗さ・範囲の適当さ」がカボチャのせっかくの出来を壊して、絵全体の完成度を台無しにしてしまっていることにも注意しておいてくださいね。
もったいないですよ^^
テキストにも多くの図解で詳細に説明していることが多いですから、ぜひ何度も読んで、手を動かしてみてくださいね。
どんどん上達している受講生の声はこちらをご覧くださいませ。
添削アドバイスを受けるとなぜ一気に上達できるのか?
その理由は、こちらの記事をご覧くださいませ。